作家先生とお手伝いさん (Side.ゆかり)

三枝 優

中学生

「なんて素敵な話なんだろう・・・」


 お気に入りの作家の新作。

 読み終えた私は、ため息をついた。


 中学では地味な存在。

 本ばかり読んでいる、眼鏡少女。


 でも、そんなことは気にしていなかった。

 本を読んでいれば、満足。


 特に、お気に入りの作家の作品は特別だ。

 中学生の頃に、初めて読んでから夢中になった。


 出ている作品はすべて読んだ。


「どんな人なのかなぁ・・・」


 TVに出るわけでもないから、どんな人かわからない。

 著者近影にも写真は載っていない。


 会ってみたい・・・


 でも、サイン会をするという話を聞いたこともない。

 会うチャンスは全く無いのだ。


「会いたいなぁ・・・」


 会って、話をしてみたい。

 その思いは、少しずつ・・・少しずつ・・・大きくなっていった。

 それはもう、あふれるほどに。

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