2014年2月3週

「はい、ちーちゃん。どうぞー。」

「え!?あーありが、とう。」

「ちょっと!もー!やっぱり!忘れてたでしょ!」

「あー、ごめんごめん。」


お酒を用意したところであやちからのプレゼント。

2/14

そう。バレンタインデー。

スーパーでバレンタインフェアやってたのは目にしてたけど、完全に忘れてた。


「あやちのこれって、もしかして?」

「ご明察!手作りです!」

「ということは、もしかして?」

「ちーちゃんも手作り頑張ってね!」


別に料理は苦手じゃないけど、むしろまあまあできる方だと思うけど。

お菓子はなー。作ったことないから不安しかない。


「あやちはいつまで待てばいいかなー?」

「あー、えーっと、今週末に……。」

「ん?」

「あー、明日作ります……。」

「うん!待ってるね!」


しまったなー。もうお酒飲んじゃったから出かけれないじゃん!

明日朝一で買い物行くか―。




あやちのチョコがあまりに普通においしかったので、気合い入れないといけなくなってしまいました。

さて、お菓子作り開始です。

ただ、オーブンはないので、超簡易的なやつで、見た目でごまかす。

狙いは生チョコ。

どうもお手軽らしいので、それで勘弁。


「でさ、なんでうちにいるの?」

「そりゃ、チョコを作るのを見届けるためでしょ。昨日の今日のことも忘れるちーちゃんだから、今日も忘れてるかもって思って。」

「さすがに今回は忘れないよ。」

「それ何回目?普段しっかりしてる風なくせに、結構抜けてるもんねー。天然だもんね。」

「ちがう!天然じゃない!わたしは天然じゃなくて、ちょっとおっちょこちょいなだけ!」

「それ、20歳を超えた女子が自分で言ってていいセリフじゃないよ。結構いたいと思うよ?」

「だー!うるさい!黙って見てて!」

「はーい、黙って見てまーす。」


とりあえず黙ってもらうことには成功。

でも後ろからじろじろされるのは結構緊張するなー。

こればっかりはわたしが昨日忘れてた件もあるから、言いにくい。

仕方ないか。




「ねえちーちゃんって、今までだれかにチョコ作ってあげたことないの?」

「え、ないよ?だって面倒じゃん。買えばよくない?」

「えー、好きな人に手作り食べてほしいとか思ったことないの?」

「ないねー。手作りって重くない?あと味の保証がないし。市販の奴なら外れることないじゃん?」

「それはそうなんだけどさー。」


別に大した失敗もなく、あとはチョコが冷蔵庫でほどよく固まってくれるのを待つだけ。

ということで、女子トークが始まっているんですが。


「あやちは毎年チョコ作ってそうだよね?」

「そうだねー。男子にあげるってこともまあまああるけど、基本は友チョコだね。高校の時はクラスの男子全員にあげてたよ。」

「あやちってそういうところマメだよね。」

「まあ、マメっていうか。見返り目当て?」

「男子ってバレンタインのお返し妙に頑張っちゃうからねー。ありがたい話だけどね。」

「ねえ、そろそろいいんじゃない?」

「よしっ!開封しますかっ!」


冷蔵庫から取り出したチョコに、ココアパウダーをかけて見た目的にもオシャンにして。

後ろからやかましく「包んで!ラッピングして!」と声が飛んでくるので、一応買っておいた小袋に包んで、リボンまでかけちゃって。

あたしもマメだなー。


「はい、あやち。遅くなったけどバレンタイン。」

「うん!ありがとー!」

「おい!開けるんかい!?」

「だって、食べたいんだもん!」

「あたしが包んだ意味は?」

「ん-、形式美形式美!」


あー、あたしもお人よしだなー。


「あ、おいし。」

「ね!めっちゃおいしいよね!さすがあやちのちーちゃんだね!」

「あやちのじゃねえし!」

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