2013年12月4週

「「じゃんけんぽん!」」

「はい、あやちの勝ち!じゃあ先にちーちゃんね!」

「ぐぬぬ。今年のプレゼントはこれです。」

「手袋?」

「手袋だけど。 ハメてみて?」

「え、まあ、普通に暖かいよ?」

「指先がね。」

「あー、もしかしてスマホ触れる奴?」

「ご明察。」

「えー、いいかも!」

「良くないと困るんだけどね。 持ってなかったよね?」

「うん!ずっと買おうか迷ってたけどね!ありがとー!」

「喜んでくれてよかった。正直持ってたらヤバいなーとは思ってた。」

「歩きスマホしないからいらなかったけどねー。今日から歩きスマホするね!」

「それはまずいよ!」

「うそ。電車待ってる間とか使うね?」

「ぜひそうして。で、わたしのプレゼントは?」

「今年のプレゼントはちょっと大きいよ?」

「ねー。すごいの持ってきたなーって思ったけど。運ぶの大変だったでしょ?」

「ううん。ちーちゃんちの近くのコンビニで受け取ったから全然。」

「なら、もうわたしの家に届ければよかったのに。」

「それはなんか違うじゃん!そんなことより開けて!」

「うん。じゃあ。…………。えーっと。……。お?これは。……。ん?コーヒー……。あ!コーヒーメーカー?」

「うん!」

「高くなかった?」

「結構安いのもあったから大丈夫!」

「えー、これは嬉しいね!早速使う?」

「ちーちゃん、コーヒーの粉なんてないよね?」

「あー、そんなものないね。」

「じゃーん!」

「うわ!有能じゃん!」

「粉もセットでプレゼント!でもあやちも飲むよ?」

「もちろん!じゃあ出来上がるまでケーキの準備しよっか。」


「香りが。」

「いいねー。」

「インスタントとはさすがに違うね。」

「でしょ?」

「なんであやちが自慢げなの?」

「あやちが買ったから!」

「それはそうなんだけど。この技術はあやちの物じゃないじゃん。」

「この技術をちーちゃんに提示したっていう意味で偉大。」

「ん-、まいっか。」

「あー、ちーちゃんがめんどくなったやつだ!」

「なんかさー、今更なんだけど。」

「なに?」

「クリスマスって何かね。」

「え?キリストが生まれた日なんじゃない?」

「ん-、そうらしいけどさー。じゃあ何したらいいの?」

「え?」

「毎年ちょーっと腑に落ちないの。ケーキ食べて、プレゼント渡して。で?」

「いいじゃん!特別感だよ、特別感!」

「そんなもんかなー。」

「たぶん、そんなこと誰も考えてないよ?」

「ん-、そうなんだけどさー。」

「逆に。」

「ん?」

「ちーちゃんは、どのあたりが腑に落ちないの?」

「ん-。なんだろ。いざ言葉にすると難しいんだけど。」

「うん。」

「ん-。クリスマスのことよく分かってないままなんか楽しんじゃってて、それよりも大事な日本の行事あるやろって。」

「なんか古臭いね。」

「俳句に触れてるとさ、自然と古き良き日本に触れることが多くて。」

「なるほどー。でも、ちーちゃんも日本の文化楽しみ切れてないよね?」

「そうなの。だからいつももやもやするの。」

「じゃあさ。」

「ん?」

「経験したらわかるんじゃない?」

「例えば?」

「あやちにはその例えばが分かんないけど、ちーちゃんは何かあるんじゃないの?」

「……。あー。新年?」

「新年?」

「そう。俳句の季節って春夏秋冬だけじゃなくて『新年』っていう冬の中の特殊な期間があるの。」

「へー。」

「その季語って使ってみたいなって。」

「じゃあさ!初詣行こ!」

「あー、いいね。今まで行ってなかったしね。」

「どこに行く?」

「……。わがまま言ってもいい?」

「なに?」

「初詣なら、伊勢神宮に行きたい。」

「伊勢神宮ってどこだっけ?」

「三重県。」

「えーっ!遠くない!」

「だから、わがまま言って良いかって聞いたじゃん!」

「確かに聞かれたけどー。」

「うん!よし!伊勢神宮行こう!プランはお願いね!」

「えーっ!あやちが考えるの?」

「そういうの得意じゃん?」

「得意ってわけじゃないけど。」

「でも、わたしが決めると何も決まらないよ?行ってから勝負みたいな旅行になるよ?」

「それは嫌だけどー。」

「でしょー?というわけで!」

「ん-。じゃああやちの行きたいとこも行くよ?」

「もちろん!」

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