第8話

「兄貴、おかえり!」

「今日も一茶がバカやってさー、メントスコーラ大学でやってんの!マジバカ!」

ただいまの挨拶もせず、札を取り出す。急がねば。今すぐ二人を元に戻さなければ。

「え、オカルト?」

「マジねえわ。折角出迎えてあげたのに」

文句を口にする弟たちは無視し、呼びかける。とにかく俺は焦っていた。

「札よ「マジありえねー!オカルトって言うんなら、兄貴と時音さん仲良くさせたりできんの⁉」


全てが台無しになった瞬間だった。札は砂と化して消滅し、ただ静寂だけが残る。


頭がぼんやりとしてきた。思えば俺と時音は、どうして仲違いをしてしまったのか。何もアイツを責めることはなかったんじゃないか?この家から一人だけ、違う髪色だったからと言って__


そこで意識は途切れた。


「兄貴倒れたんだけど……」

「めんどくせ、ベッドまで運ぶの手伝えよ。一茶」

「はいはい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る