第13話


お互いの名前が分かってからは、一気に距離が近づいて公園にこもるだけじゃなくて、生きている時には行けなかったところに行ってみたりしてすごい楽しくなった。



昼の遊園地に行って夜の誰もいなくなるまで遊んだり、水族館で魚たちが寝ているところを見に行ったり楽しかった。

なによりケンカが無くなったの!




でも楽しい時間も今日で最後。


セラとの49日が今日で終わる。



「なんか実感ねーなー。」

「なんの実感?」

「今日が49日目っていう実感と、転生することができるかもっていう実感。」

「長かったもんね。」

「まぁ、残り3週間ぐらいはあっという間だったけどな。」

「そう、だね。」


『あ、もしもし~?アズちゃーん?』



神からの連絡だ…。


ついにセラが転生する時が来ちゃった。



「はい。聞こえています。」

『よかったよかった。無事に担当魂とは仲直り出来ているようだし、心配はないかの。さて、そろそろ上に登ってきてくれるかの?』

「わかりました。」


「どうかしたか?」

「神から、上に上ってきてほしいって連絡が来た。」

「そっか、やっとだな。」

「そうだね。」

「そんな寂しそうな顔するなよ。まだ直ぐにって訳じゃないだろ?」

「うん。」

「じゃぁ、今度は上に行ったら楽しもうぜ?」

「わかった。」



セラにとっては嬉しいことなのに、お別れするのが嫌すぎてどんな顔したらいいのかわからないや。

せめて笑っていたいけど、ひきつってるんだろうなー。

神にもどうせこの気持ちバレてるんだろうな…。



『よく来たのぉ。49日はどうだった?』

「はじめはどうなるかと思いましたが、楽しかったです。」

『そうかい。それは良いことだ。おぬし達が気にしているであろう転生の事だが、起きても破ってないし、項目も全てやり遂げているから許可しようと思っている。』

「本当ですか!!ありがとうございます!!」

『後の時間について少しだけ説明するからセラだけ残ってくれるかい?』

「?…はい、わかりました。」



神様から魂に話って珍しい。

私が担当していた中では初めてじゃない?

奈に話してるんだろう。



セラが転生しちゃうのか…

一緒に行けたらいいのに。

最初の印象はかなり最悪だったけど、離していくたびに何故か惹かれちゃったんだよね。

はぁ、今までこんなことなかったのにな。



「お待たせ。」

「セラ。どうだった?」

「あぁ、転生するにあたっての注意点みたいなこと言われた。」

「注意点?」

「転生は今日の1時ってことと、転生すると当たり前だけど記憶はなくなるってさ。」

「何で1時なんだろう?」

「さぁな。まぁ、神がもう一つ大事な事おしえてくれてさ」



大事な事って何だろう。

記憶がなくなっちゃうってことより大事なのかな。

私とはもう会うなとか?

そんな事神様が言ってたら一生恨むかも…。



「気になる…。」

「何でそう複雑そうな顔してるんだよ。まぁいいや。掟はもう上に来たら関係ないんだってさ。」

「どういうこと?」

「今、この時だけは掟は破っても目をつぶってくれるんだってさ。」

「何それ!?聞いたことないけど…どうゆうこと…。」



なにそれなにそれ!!

ここでは掟が関係ないなんて初めて知ったけど!?

何でそんな大事な事今まで言ってくれなかったのさー。



「まぁ、神がそう言ってるんだからこれで転生できなくなったとか言われたら恨むよ。」

「恨むって、そんなに?」

「あぁ、だから話しておこうと思ってさ。」

「は、話って…?」

「そんな怖がんなくって大丈夫だから。」



掟を破るほどの話って言われたら誰でも怖がるでしょ…。

今までの怒りとかぶつけられたら耐えられる気がしないよ?



「俺はこのまま何も言わずに転生しようと思ってたんだけど、神は何でもお見通しなんだなってさっき思ったんだよ。だから…あぁくそっ口に出そうとするとやっぱりちきるな。情けねぇ。」



セラが何を言おうとしているのかわからないけど、そんなに緊張されると私まで緊張しちゃう。



「わるい。よし、覚悟決めたわ。」

「うん?」

「俺、アズの事好きなんだ。」



え…?






-つづく-








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