第8話 傷を薬草で癒す

 キー! キー! キー! キー! キー! キー! キー!


 突如として奇声が聞こえてきた。


「う、うわっ! なんだっ!」


 コウモリだった。無数の蝙蝠型のモンスター。『バッドマン』が俺に襲い掛かってきた。人のような顔をした、不気味なモンスターだった。

『バッドマン』が空中を舞い、俺に攻撃をしてくる。


「……くそっ! 離れろっ!」


 俺は無我夢中で剣を振るい、『バッドマン』の群れを追い払う。追い払う事には成功したが、相当なダメージを負ってしまった。


「……ちっ……」


 俺は舌打ちする。『バッドマン』は決して強いモンスターではない。だが、何の防具も装備していない俺ではそれでも手に余る相手だった。


 やはり、防具も作らないといけないだろうな……ゆくゆくは。武器も大事だが、やはり防具も同じくらい大事だった。死んでしまえば何にもならない。蘇生魔法が使えるような仲間か蘇生アイテムでもあれば別だが、命は一つしかないのだ。


「だけど……とりあえずはこの傷を癒さないとな」


 きっとどこかに回復アイテムがあるだろう。俺は地下迷宮(ダンジョン)を探し回った。そして、その目当ての回復アイテムがありそうな場所をみつけたのだ。


 そこはまるで地下迷宮(ダンジョン)にあるオアシスのような場所であった。


 ◇


 そこは今までの暗いジメジメとした環境とは大きく異なった、砂漠にとってのオアシスのような環境だった。草木が茂っている、この地下迷宮(ダンジョン)における楽園のような場所。心身を休めることができそうな場所であった。


「はぁ……」


 俺は深く溜息を吐いて、そのエリアに腰を下ろした。特別、今いるエリアにはもんスターなどは出現しなそうだった。


「疲れた……」


 俺は疲労とダメージの余り、草原に大の字になる。


「……んっ?」


 俺は何となく、草原に生えている草を握りしめた。そして、気づいたのだ。。


「……これは……この草原に生えている草はただの草じゃない。薬草だ」


 薬草。ポーションの原材料にもなっている、野草だ。市販されているポーション程の回復力はないが、それでも微弱ではあるが回復効果がある。


 幸運(ラッキー)だった。


「よし……こいつを使って『バッドマン』から受けた傷を治そう」


 俺は薬草を使用して傷跡の手当をした。みるみる体力(HP)が回復していくのを感じた。


 元通りの体力(HP)に戻ったのを感じる。


 ついでに俺は薬草を適当にアイテムポーチに入れるのであった。


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薬草×10

傷の手当に使える回復用のアイテム。回復力小。

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 こうして俺は薬草を手に入れたのだ。


 後、もう一つやるべき事があった。バッドマンに襲われてわかった事がある。それは防具の必要性だった。俺に欠けている守りの欠点を補おうと考えたのだ。


 目の前には巨大な樹木がある。この樹木を利用して、俺は防具を作ろうと試みたのだ。


 『ミスリルブレード』で樹木を斬り、木材を調達する。俺はこの木材を利用し、防具を作ろうと思ったのだ。


 俺は早速、作業に取り掛かる。


「よし……できた」


 しばらくして出来たのは木で出来た盾だった。これは『ウッドシールド』だ。単なる木製の盾である。俺は早速『ウッドシールド』を装備した。

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ウッドシールド。

木製の盾。木で出来ているだけあって、炎攻撃には弱いが軽い上に物理攻撃にそれなりに有効。

防御力+10

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目的を果たした俺は補給エリア(勝手にそう名付けた)を出るのであった。


 ◇


 キー! キー! キー! キー! キー! キー! キー!


「うわっ! またかよっ!」


 補給エリアを出ると早速、またもや『バッドマン』に襲われるのであった。しかし、今度の俺は一味違ったのだ。


 俺はバッドマンの攻撃を手に入れたばかりの新装備『ウッドシールド』で防いだのだ。


 しばらく耐えていると攻撃が通用しないと思ったのか、『バッドマン』の群れはどこかに逃げていった。


「ふう……何とかなったか」


 独りぼっちの地下迷宮(ダンジョン)生活は続いていくのであった。


 俺が悪戦苦闘している、一方その頃。地上ではまた新しい動きが起こっているようであった。その時の俺はまだ知る由もない事ではあったが……。



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