第37話 全裸待機するヒロイン

「さて、地図だとここなんだけど」


 俺はLLGを学園のローカルネットにつなぎ表示させていた学園の地図を、投影画面ごと閉じた。


 そこは、一等寮と呼ばれるマンションで、ようするにお金持ち用の高級寮だ。


 当然あくまで学生向けなので別に成金趣味だったりSPがついているとかそんな大層なもんじゃない。


 ただ部屋の広さが他の四倍らしく、ワンルームではなくリビング以外に二部屋ついているとの事だ。


 庶民には贅沢なところだが、ハワード家の令嬢からするとあばら家の兎小屋も同然だろう。


 コーチである俺の静脈パターンは女子寮に登録しているので、手をかざすだけで簡単に入れた。


 エレベーターで最上階まで行くと、監視カメラ付きの入り口の前に立った。


 チャイムを押して、


「アメリア、俺だ、開けてくれ」

『OH 来たデスネアサラ。空いているから入ってクダサイ♪』


 言われるままにドアに触れると、左右に割れて俺を室内へと導いてくれる。


「へぇ」


 玄関で靴を脱いで中に入ると、アメリカから持ち込んだのか日本で買ったのか、立派な調度品が並んでいる。


 庶民の俺にはよくわからないが、一言で言えば『高そう』という奴だ。


 現代では精密な立体物でもロボットアームが一瞬で削りだしてしまうため、机やテーブル、イスにも細かい彫刻が施されていても高級とは言えない。


 材料さえあれば、作者本人でも見分けられない程精密な絵画や陶器、彫刻品の複製が作れる現代では、デザイン料と材料費が高級か否かを決める。


 でも俺が触ってみると、確かに手触りはいいし、家具の所々には金色の細工や加工がされている。


 たぶん銅と亜鉛の混合物である黄銅ではなく、純金だろう。


「アサラー、すぐ行くからドアの開いている部屋で待っていて欲しいデース」

「わかったー」


 リビングから伸びる廊下から聞こえるアメリアに従って、俺は空いている部屋に入り、そこが寝室であることに気付く。


 キングサイズで天蓋付きのベッドが部屋の中央で鎮座して俺を威圧する。


 アメリカって寝室と客間を兼ねてるのか?


 なんでこんなところに通されてのか解らない。


 そもそもアメリアはどこにいたんだろう?


 あの廊下の奥はキッチンだろうか?


 お茶でも用意してくれていると見るべきかな。


「アサラ」


 背後からアメリアの声と、部屋のカギが閉まる音がした。


「アメリア、なんでこんなところ、にぃっ!?」


 陶磁器のように白い肌。


 程良く肉付いたふともも。


 大きくも上に引き締まった形良いヒップ。


 ギュッとくびれたウエストの上には、相反するようにして男心を貫く爆乳が、黄金のバストラインを引いて曲線美を誇示する。


 細く華奢な首筋に支えられた美貌は上気して、セクシーな唇を舌で一なめしてから濡れた瞳で俺を射ぬく。


 一言で言おう、アメリアは一糸まとわぬ、生まれたままの姿だった。


 ふぉオオオオオオオオオオオおオオオオオおファああああああああああああああああ‼


 また鼻の奥が鉄の匂いで満たされる。


 これでは昨日の二の舞だと、俺は意識をしっかり持つ。


 しっかりとした意識でアメリアの裸体を目に焼き付けた。


「ミスターアサラ。話がアリマス、ベッドに横になってクダサイ」


 アメリアが絨毯を踏むごとに、彼女の豊満なボディが俺を魅惑する。


 波打つ爆乳の頂点でツンと上向きの乳首が揺れるが、叶恵を超える超、否、神動体視力を持つ俺にはアメリアの爆乳がブレることなく、鮮明に揺れを視認できた。


 俺は逆に一歩、また一歩と下がり、ベッドに足を取られて背中から倒れ込んだ。


 俺の体がベッドに深く沈み込んで包まれる。


 アメリアは艶然と笑い、俺をベッドに閉じ込めるようにして、自分がフタにでもなるように覆いかぶさって来る。


「ア、アメリア!?」


 俺の上で四つん這いになるアメリア。


 俺の視線は、思わず彼女の胸と顔を往復してしまう。


 赤みの挿した彼女の顔は、妙に艶っぽい。


 何々なんなのこれ、どういうことなのこれ!?


 俺の心臓が爆発しそうなほど高鳴って、汗が噴き出し脳内で火薬庫が炎上している。


「アサラ、ワタシの事をどう思いマスカ!?」

「はぃい!?」

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