第4話

 今日は天気がとってもいいの。だから布団を干そうと決めたのよ。

 ふわふわの布団をベランダの淵に干したとき、さんさんと浴びる太陽の日差しの気持ちよさにふぁと欠伸が出ちゃった。別に昨日夜遅くまで起きていたせいじゃないわ。きっとね。

 けど、そうやってふわふわしていると、ついうっかり


「なにしてるんだっ!」

 怒鳴り声がしてびくりと目覚めた。

 え、なに。

 ひきずられて、尻餅をついて私は見上げたのは旦那様。

 真剣に怒った顔をしている。あ、これ、なんかしちゃったやつだ。

「えーと」

「あんな身を乗り出して、敷き物かと思ったら君でびっくりした」

「……私、寝ちゃってた?」

「……」

 そんな顔をしないで。

 太陽の日差しがあまりにも気持ちよくて、お布団と一緒に干されちゃった。

 けどひどいわね、敷き物って

「私のこと、ひぐまの敷き物とか思ったの?」

「いいや。廊下を通ったとき、布団の上に君がねそべるように干されていて、ああ、嫁の敷き物かって思ったあと、いや、嫁だって思い直して慌てた」

「ふふ」

 なに、それ。あ、けど私もきっとあなたがのびてたらそう思うわ。

 はぁと深いため息をついて頭をかいてまったく、もうって顔をする旦那様に私は笑ってすり寄った。

 お布団を干したとき、旦那様の匂いがしてあ、いい匂いって思ったの。そのまま包まれて寝ちゃったのね。

「くちゃい、だんなさん」

「……」

「やだ、傷ついた顔をしないで」

「俺は君よりずっと年上のじじいなんだぞ」

「……加齢臭じゃなくてね」

「お酒とかたばこの?」

「ううん。煙草は吸わないでしょ。あなたの甘いし、ちょっと渋い香りがして好きよ」

「……俺は君の甘い花みたいな匂いが好きだよ」

「私、香水つけてないのに、不思議ね」

「君自身の香りだよ」

 ぎゅうぎゅうと抱きしめられて、お互いに相手の匂いを嗅ぎ合ってる。

 たぶん、私たち、とっても相性がいいのね。

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