答え
「いやー、さっぱりしたな~」
「身体はな」
確かに風呂で身体はスッキリしたけれど、保留された告白の答えを知りたくて知りたくて心が全くスッキリしていない。
「...信二」
恐らく空の物ではない声の方を見たら遥がいた。
「話が...有るんだ」
わかったという解答しか出てこなかったので、とりあえず着いていった。
「単刀直入に言うと、私空のことが好き」
遥に告白して一時間程たっただろうか...まさかこんなすぐに返事が帰ってくるとは
「えっと...ありがとう」
「さっきも言ったかもしれないけれど、私は恋をしたことが無いの。だから、このモヤモヤした気持ちが...言葉にするのが難しい感情が恋だって知らなかった」
遥は頭が良いから、何でも自分で理解しようとする。これが○○だ!と割りきることが出来ないので、経験したことのない恋という体験をし、どうすれば良いのかわからなかったのだろう。
「で、一応今は私が告白している場面ってことになるのだけれど、信二の答えは?」
まるで答えがわかっているかのように質問される。
「俺にはこれだけは他の誰にも負けないって物がなかった。でも、最近出来たんだ」
早く言えと目で語っている。
「遥を思うこの気持ちは誰にも負けない自信がある。だから、俺と付き合ってください。」
ロマンチックな場面で、カッコいいセリフを言ってする告白になんと無く憧れは抱いていたが、これで良い。気持ちは言葉じゃなく、行動で示せば良いのだから。
「喜んで!あとずっと気になってたことが有るんだけど」
「どうしたの?」
「信二さ、テンション可笑しいよね、修学旅行始まってから。何か新鮮」
自覚は全く無かったからキョトンとしていると、地獄の時間が始まった
「例えば、バスで私の私服褒めてくれたとき。私の下の名前を呼ぶのにでさえ赤くなってた信二が、軽々褒められるとは思えないなあ~」
他にも、俺が言ってしまったくさいセリフ等も列挙されていく...もうやめてくれ...思い出したら恥ずかしくなるから!
「遥ってほんとに俺のこと好きなの?」
「好きだよ。そういうところも全部含めてね!」
気分が高揚し過ぎて今夜は寝れないかもな...
「そういえばさ、空と瀬良はどうなるんだろうね」
「確かにな。でも恋愛の形は人それぞれ違うし、俺らがなんかすべきでは無いんじゃないかな」
これは本音だ。空は俺に深く聞こうとはしなかった。だから、俺も話してくれるのを待ちたい。相談されたら全力で協力してやる!
「じゃあ名残惜しいけど、もう部屋戻らなきゃだよね。改めてこれから...その、ヨロシクね?」
「こちらこそよろしく!」
俺達は人通りが増えるばしょまで手を繋いで一緒に歩いた。
その時間は一瞬で儚く終わってしまったけど、不思議な世界だった。彼女の体温が手から感じ、俺の体温も瀬良へ伝わる。
言葉はあまり交わさなかった。交わさなくても、お互い何を考えてるかわかったから。
赤く成っている横顔を、少し強く握り合うお互いの手を、不意に横を観たときに目が合う瞳を見合って俺達は思う。"この隣にいる人の手を、ずっと握っていたいな"と。
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