第17話

それでもあたしは、その人に当てたメッセージを残す事にした。



なにか話が聞けるかもしれないから。



『はじめまして。



私は悪魔山へ行きました。



それ以降体の調子がおかしいのです。



少しでいいので、お話しができませんか?』



返事が来るかどうかわからないまま、送信ボタンを押す。



スマホ画面を閉じようとしたその時だった。



立て続けにメッセージが届いた。



梓と透と夕夏の3人から、心配する内容が送られて来ている。



一瞬、この3人には本当のこと話そうかと悩んだ。



けれど信じてもらえるかどうかわからない。



自分が妊娠していることだって、未だに信じられていないのだから。



《友里:連絡しなくてごめんね。あたしは大丈夫だから、心配しないで》



結局、そんな文面を送信したのだった。



そしてベンチから立ち上がった。



ここでぼんやりと時間を潰していても、意味がない。



あたしは自分にできることをしないと。



そう考え、もう1度悪魔山へと向かうことにしたのだった。

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