叶わない夢 Dreams that won't come true

佐々木桜汰朗

|関東では珍しい大雪に見舞われた3月4日。

 手に受験票を握りしめ、第一志望校として受験した私立青葉山宇治大学附属高校にバスで向かう。緊張を通り越して無感情になり、無の精神でバスから降り、一人歩いた。他にも私と同じ学校に受験した生徒は山のようにいるので3000人ほどの人混みの中、かき分けて昇降口を目指す。そこで結果を一回見てしまえば今後がわかる。なるべく早く済ませたいとなんとも受験生らしくない考えを膨らませながらひたすら歩いていたとき、すれ違った人にどこか胸さわぎを覚えた。少し怖い気持ちがあったものの、振り返ってみた。私は納得とともに灰色だった感情に更に色が消え、白にまで消えていった。いや、もしかしたら白に染めたのかもしれない。

 結局振り返ったときの衝撃で志望校に合格しても特になんの感情も湧いてこなく、まるで落ちた人のような顔をして家に帰った。

 制服を買おうと思って付箋にメモしてあったが、明日と書き直しこの日はすぐに布団に潜ってしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る