第14話 モンスター戦士


 学校が終わり、美咲に霊力コントロールを教えてから帰宅したのですでに暗かったが月人が町を見回り始めてから一時間も経つと辺りはすっかり暗くなり、月がその姿を現す、もう少ししたら一番星が見えるかもしれない。


 月人は銭湯(せんとう)の煙突の上に立って町を見下ろし、干渉に浸る。


「明日から、俺がこの町を守るのか……」


 この町にいるソルジャーは月人だけではない。


 和人と美月もソルジャーでさらに二人の両親、つまり月人と夜風の祖父母もソルジャーだが彼らほどのレベルになると町の警備以外に協会から直接退治するモンスターを指定され、その地域まで行くためにこの町を離れることが多くなる。


 今までこの町はソルジャー不足で和人達への以来が制限されていたが月人のテストの成績を考えればこれからは月人が中心になってこの町を守ることになるだろう。


「……」


 月人が視線を向けた先、そこには今は焼け跡になっている空地がある、もとは公園があり、毎日多くの子供達が遊んでいた場所だ。


「……っ……」


 それ以外にも存在する焼け野原や倒壊したビルの跡、それら全てに視線を向けると月人は歯を食い縛り、怒りで顔を歪める。


「・・・・クソッ・・・・・・」


 月人は舌打ちをして暗い、夜の街にその身を投げ込む。


 夜の一〇時、何体かのモンスターは見かけたが人に危害を加えるようなものはおらず、今夜倒したのは弱い悪霊三体と中級程度の悪霊一体、今日はあくまで下見、月人がそろそろ家に帰ろうかと思った時、ただの霊にしては少し強い霊力を感じた。


 気配からすると中の下程度のモンスター、それとよく知っている人物の匂いがする。月人はビルの屋上を蹴り、大きく跳躍をした。

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