第3話 和人の記録1


 二〇XX年、燃え盛る炎の中で二人の戦士は刃を交える。互いに死力を尽くし合い、全身から血を流し敵に肉迫する。


「あれは破滅そのものとその元凶、それを守るために命かける価値があるのか?」

「うるせえ! 自分の子供(ガキ)と妻(おんな)も守れねえ奴は男じゃねえ! ただそれだけだ!」


 その言葉に黒衣の男は少しの間をおき、呆れたように言い捨てる。


「本当に昔から変わらないな、ならば、俺の全存在にかけて、その信念ごと斬り殺してくれる!」


 黒衣の男は手の剣に全ての霊力を込め、敵への殺意を最大まで高める。


「じゃあ俺は、美月と月人にかけて、てめぇをブッタ斬る!」


 背中から蝙蝠(こうもり)のような翼の生えた男も自らの剣に全霊力を込めて構える。それを確認すると黒衣の男が叫ぶ。


「いくぞ! 夜王(やおう)和人(かずと)!」

「こいよ! 黒塚(くろつか)奏連(そうれん)!」

 二体の戦神は一瞬で距離を詰め、互いの剣を衝突させた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る