長編詩~かくれんぼ越えて

おーい


おーい


聞こえますか?


ボクのこの声


君に聞こえますか?


確かに

届いていた筈なのに


ある時不意に


音信不通


途絶えた連絡


もういいかい?


探してもいいかい?


一人で叫ぶけど

誰も答えない...


ボクは

孤独の波に

さらわれる


そして

ボクは

夢へとおちてゆく


深く

深い

夢の中へ...


夢の中


そこでもなぜかしら 


ボクは眠る


そして

夢を見てるのだ


夢の中

での夢を


まずはじめに

夢に出てきたのは母


次いで兄


そして叔母


みんな

ボクのこと


見えないみたいだ


遠くを見てるの?


ボクは見えない?


夢の中でさえ

孤独感たっぷり


ボクは

みんなから

かくれて

かくれんぼしてるかのように


誰も

ボクのこと

見つけられない


ボクの心に

冷たい風

吹き始めていた


あんなに輝いてた

昨日が


まるで

色をナクシタ


そう


ボクの心は

モノクロ世界...


ボクは

なぜかしら冷静で


会う人

会う人に

共通点見いだした


みな

過去に

一度ではなく

何かしら

ふれあいのあった人達


例えば


小学校の時

六年の時

隣の席だった


そう

まっちゃん


あそこには

近所のおうちで

毎日のように遊んだ

幸枝ちゃん


ボクは

懐かしくて

どうしようもない


だけど?

ボクはおきない


ボクは

どうかしたのか


今日が

何日なのかも忘れて


いや

わからない...


だけど

ボクは冷静


そして

相変わらずの

モノクロ世界...


懐かしい人達


今までの出会い


その全てを

結集するかのように


次から次へと巡る

人、人、人...


いつしか

ボクは


なんだか

このまま

こうして


巡りあい

思い出してるのも

悪くない


そんな気になっていた


冬が巡る


雪が降る


雪は見える


白...


だけど


晴れて

青いはずの空も

相変わらずモノクロ...


そんな

眠り?におちて

どれくらい経ったろう


ボクはある日?

衝撃で目覚める


覚醒


というには

あまりにも

残酷な


痛み!


痛み!


痛み!


ボクは

突然に襲った痛みに

悲鳴をあげる


痛い?


我に帰ると

悲惨な現実

待ち受けていた


どうやら

病院のベッドの上


ボクは

足が固まり

曲がった状態で

目覚めた


衝撃的な痛みは

曲がった足を

リハビリの為伸ばした

看護師さんの仕業らしい


夢におちて

夢の中

夢見てたボクは


なんと

一歩も歩けなくなっていた


悲しすぎる!


現実に向き合い

だけどボクは


病室に飾られた

紫陽花の花を眺め

色を感じる...


それが

唯一の救いだった


モノクロ世界からの

脱出


しかし


まだ


先は見えず...


ボクは

長い

長い

眠りから覚めた


そして

それは

これから始まる

試練の幕開けでもあったのだ


ボクは

色を取り戻した


その代償が

不自由なる体なのか?



言うこと聞かなくなった

ボクの体は


覚醒する前より

ずっと重く


しかし

実際には軽くなり


細くなりし

手足...


されど動かぬ足を

病室のベッドの上で

どんなに恨んだことか


ただ

誰も責められぬ


これは

運命


ダレが悪い訳でもなく


ボクの

ボクに与えられし

試練


目覚めてすぐに

看護師さんが

シャンプーしてくれた


今のボクには

それが

なによりも

しあわせに感じる...


日常の中に

戻れた

といった実感


渇いて

サラサラになった

大分伸びた髪を

切る


身も心も

さっぱり


とまではゆかぬが...


日常の中に

舞い戻り

また歩き出そう


そんな助走


序章...


歩く為に

すべきこと


それは

九の字に曲がりし

足を真っ直ぐすることだ


そのリハビリは

とにかく辛い


辛さ通り越し

笑ってしまうくらい...


実に辛いのだ


痛い?


泣きわめく...


いや


男だから

泣かないけど


それくらい痛いのだ


ボクは

何度でも

何度でも

繰り返し

リハビリをした


諦めない


うん


自分の足で

もう一度歩くんだ!


誰かのこと

探して 

かくれんぼ

はじめたつもり?


でも

でもね


本当のホントに

探してたのは

ボク


ボクなんだ


そうわかってきたのは

大分経って


足で立つ練習まで

こぎつけたとき


かくれんぼ


ボクは

ボクという

一個の人間確立するため


何個も試練

乗り越えた


でも所謂


自己実現は


かくれんぼ...


時に

楽しいだけではなく


暗く

長い

せまい道さ迷う


でも

苦労した分

喜びは待っている


大きく


そんなふうに

想う...


ボクは

何から

かくれたかったのか


年端もゆき


人並みに

経験も積んだが


哀しいことが

現実に起きて


そこから逃げるように

雲隠れ...


したのかもしれない


でも

かくれんぼしてたのは

ボクだけ


ボクは

孤独という

哀しいマジックにかかり


刹那的で

絶望的な


思考回路に陥ってた


そこから抜け出すには


傷みは


痛みは


必要不可欠だったのかも知れない


もう

ボクは

かくれんぼはしない


隠れる理由も

払拭して


この世界

目一杯感じて

生きる


生きるんだ!


愛するべきもの


と共に...

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