長編詩~キミはトワの相棒

夏のはじまり


気温上がる中


ボクは君を見つけた


クーラーが寒い


と酷く嫌がる君


自然の気温のままに


暑いときにはそよ風で涼を


寒いときには毛布にくるまう


君は


自然の中


生きていた...


君はすぐに


ボクになついて


人懐こく


ボクを追いかけまわす


ボクも


悪い気はしない


ボクは


モテる男装うが


ほんとは


まるで


てんでモテやしない


それは


周知の事実


でも


夏のはじまり


出会った君は


例外中の例外だった


ボクを慕う眼差しに


ボクは


少なからず


ドキドキしながら


だけど


名前も


年も


全てがミステリアス


そう


その子は


喋れなかったんだ


驚くことに


字も書けない


コミュニケーションは


目と目...


君は


ボクを


追いかける


ボクは


逃げるふりして


そっと抱きしめる


ボクを


必要としてくれる存在を...


君と


出会い


瞬く間に


日々は過ぎゆく


君は


何故だろうか


汚れを知らぬ


子供のようで


君との関係は


なにもなかった


でも


二人の間には


誰にも


邪魔の出来ぬ


空気漂う...


言葉は


話せず


字も


書けない


という悲しい事実


だけど


受け入れる


君を


それでも尚且つ


必要とするんだ


ボクは


君が


ボクを必要なように...


夏が過ぎて


木枯らし吹いて   


寒がりな君には


酷な季節の到来


ボクは君に


ひとつのプレゼント


渡す


青いマフラー


少しだけ


青みがかる


君の瞳と重なる



うん


似合う


君は


ニッコリ笑ってみせた



君は生まれつき


口がきけないの?


文字は


習わなかった?


なにも話せない


なにも書けない


だから


こんなにも


続くのかも知れない


そんな


因果...


冬を


凍えながら


毛布にくるまり


過ごす二人


君は


珈琲よりもホットミルク


好む


だからいつでも


君のそばにはホットミルク


君は


フーフー言いながら


美味しそうに


コクコクのんでる


ボクは


珈琲片手に


君が


ミルクこぼさないか


気が気でない


君は猫舌


いまにも


ミルクひっくり返しそうで...


冬は


はじまり告げたばかり


二人並んで


毛布にくるまり


時に珈琲


時にホットミルク


そんな


普通でない二人...


どうにもこうにも


変わりのいない


君の存在


もう


二度と会えぬであろう


恋よりも


濃いなにか



はじめから感じてた


ボクは


大地に


この大地に生きる


それが当たり前



勘違いしてた


大地に生きる


とは


なんたるしあわせなことか


それも


君が


教えてくれた


他ならぬ


君が...


寒がりな君が


風邪ひいた


ボクは


熱心に看病


君は


なんだか


とても苦しんで


どうしていいか


わからない...


医者?


言葉の話せぬ患者


辛さ


伝えられないだろう


ボクだけが


わかる


ボクも


同じ苦しみ 


味わおう


うつして


貰おう


君の苦しみは


ボクの苦しみ


でもそれじゃ


看病する人


いなくなる


無理か...


君の風邪は


日毎に


悪くなるばかり


ボクは


おろおろするのが関の山


看病疲れで


うたた寝してると


夢をみた


何年も


共にした


愛猫ラッキー


夢枕に立ち


何か言いたげ


ラッキー?


そこに


神様?らしき人...


「実は

お前は今

ラッキーと暮らしておる


そしてラッキーは

もう長くはない


残された

僅かな時間


お前に

ラッキーとの時間

与えることにした


ラッキーは

お前が思うよりも

お前を心配しておった


だから

大地に戻る

と決めたのじゃ


無駄にするでないぞ


その

溢れる愛情を」


にゃーん...


泣いた


ラッキーの声で


目覚める


現実に戻る


だけど?


君はラッキーなのかい?


寒がり


猫舌


青い瞳


追いかけるのはボクだけ



はじめて


ラッキーと重なること


知る


ラッキー


ラッキー


愛しくて


抱きしめたくて


もっと早くに


わかっていたなら


してあげたいこと


沢山あった


だけど


いまできることは


君を見送ることだけ


そう


あの日のように...


君は


ボクの相棒さ


天と地と


別れても


変わらぬまま...


君が


静かに


眠るように


天国へと旅立ってから


ボクは


「大地に生きる」


そう決めた


強く


逞しく


生きる


それが


あたり前ではない


有難いこと



今では


身に沁みてる


ラッキーに


感謝だ


言葉に


出来ぬほど...


ボクは


そうさ


大地に生きる


天へと


昇る日まで


いつでも


君を


抱きしめながら...

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