エルシィの感想その7

「そう“思っていた”……過去形なんですね?」

 小賢しい小娘が、いたずらっぽく笑って小首を傾げて来やがった。

「どうかな。今の話聞いて、ボクについていくのやめたくならなかった?」

「なりませんでしたね」

 いい性格してるね。

 まあ、善人なんかじゃないからね。

 ボクも、彼女も、誰も彼もみーんな。

 同じ、同じ、同じ。

 チョロいって言えば、このコも大概だよ。

 基本的にボクの行動には異を挟まないし、言うことは何だって聞いてくれる。

 ゆえあって「ボクを燃やしてくれ」だとか「ボクの耳を切り落としてくれ」と頼んだら、従順に応えてくれたよ。ガッデム!

 確かに、頼んだのはボクだよ?

 でもフツー「本当にいいんですか?」の一言くらいないかな!?

 この調子だと「ボクを八つ裂きにして殺してくれ」って言っても叶えてくれるかも?

 ……それも、いいかなって思う。

 いや、八つ裂きは痛すぎるから、光魔法で蒸発コースがいい。

 多分ボクに寿命死は無いと思う。

 戦死、討死、横死……そんなとこだろう。

 なら、彼女に早いうちから苦痛なくヤってもらった方が、トータルお得だよ。

 人生は損切りが大事。

 カリスやリーザ達から学んだ事だね。

 あと。

 それを頼んだ時、エルシィはどんなリアクションをするだろうね?

 それが凄く楽しそうだ。

 何なら、幽霊になってボクを殺った後の彼女をウォッチとかしたいくらいだよ。

 よし、機会を見て実行してみますか。

 きっと、面白い顔が見られる。

 このネタには自信がある!

 

 ……と、そう言えば。

「蒸し返すようでアレだけど、結局、キミがこの前からカリカリしてた“本命”の悩みって何なの」

 微妙に、引っ掛かってたんだよね。

 微妙すぎて、ダンジョンの話に紛れてしまってたけど。

「ああ、それですか」

 エルシィは、何でもない事のように、手をポンと叩いて、

「そのうち話す時がきますよ。

 聞けば“な~んだ、そんなこと”って肩透かしを食らうと思いますよ」

 ふーん。

 その程度の事なら、別にいいか。

 今は、あのダンジョンでの話が先だしね。

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