続1話 手術の日 その後


 僕が手術を取り止めた日、杏子は家に帰って来た。ここは元々杏子の家なんだから出ていかなくても良かったのに。


 雪ちゃんと喧嘩したとかで今まで杏子は実家に帰っていたんだって。


 でも、今度はお母さんと喧嘩したとかで……もう顔も見たくないと言っていたんだよ?

 どうしたんだろう?


「……ただいま」

「うん、お帰り杏子」


「ん……お帰り杏子ちゃん?」


 二人の様子がおかしい。まだ喧嘩中?


 雪ちゃんは杏子を見つめてニヤニヤしているし、杏子は目を逸らして口を尖らせている。


「あの……二人とも何があったか知らないけど……」


「知らない訳ないでしょ!?」


「ええええ!?」


「ふふっ……おたくんが知ってる事だよ?」


 何の事かな?僕が知ってる事?杏子がいない間……僕は雪ちゃんと一緒に寝ていたけど何かあったかな?


 良く気持ちい夢を見たけど?……そうそう、雪ちゃんとエッチしている夢だった。


 夢?あれ本当に夢だったのかな?自信無くなって来たよ?


「何の事か分からないけど?僕が悪かったの?」


「本当に知らないの?」


「夢なら見たけど?」


「ゆきよん?あんたまさか……睡姦……」



「あはは……ごめんなさい?」


「まぁいいわ……これからは私も混ぜること……いい?」


「いいの?杏子ちゃん?」


「リハビリよ!リハビリ?」


「私はトラウマを克服するから……おたるんのために!……だから……私にも……ちゃんと見せてね?」



◇◇



 お母さんの事はまだ許せない。


 全ては義父が悪いんだけど……母まで巻き込んで……本当に酷い人だった。


 私が義父に犯されそうになった時に、母から電話が来た事で私は逃げる事が出来た。


 あれが母の計画の内だったのか、愛情なのか嫉妬で止めたのかは分からない。


 でもそれで助かったのは確かだった。


 私はおたるんの為に、自分のトラウマと向き合っていく事を決めた。


 この先おたるんと一緒に……ううん……おたるんとゆきよんと一緒に生きていくために。



◇◇



 結局、おたくんの手術の日まで、私には何も出来なかった。


 私はおたくんが寝静まってから、一人頑張っておたくんの子供を採取した。


 結局……今のおたくんの大きさじゃ、何度か試したけど、まだ無理だったから……なんとか頑張って集めたけど……結局は杏子ちゃんにバレちゃった。


 私はおたくんが女の子になるまでに子供を作る事しか頭に無かった。


 私にはおたくんを女の子になるのを止められなかったから。


 おたくんは、杏子ちゃんの希望を優先していたから、おたくんが女の子になるのを止める事が出来るのは、杏子ちゃんだけだったんだ。


 頑張ってたのが杏子ちゃんにバレて、杏子ちゃんとは喧嘩しちゃったけど……私の思いは杏子ちゃんに伝わったのかな?伝わってたらいいな……。



 それから手術の日、私の思いが伝わったのか分からないけど……杏子ちゃんは、おたくんの手術を止めて帰って来てくれた。

 

 嬉しかった。おたくんは男の子を選んでくれたから。


 それに、杏子ちゃんありがとう。おたくんを止めてくれて。

 

 杏子ちゃんのトラウマは一緒に直していこう?



◇◇



 良く分からないけど二人とも仲直りしたみたいなので一安心と言ったところ。


 今日の夕飯は久しぶりに3人一緒に食べることが出来た。もちろん僕も手伝ったし、珍しく杏子も手伝ってくれたのは良い傾向かもしれない。


 そして、今日から杏子のリハビリが始まった。


「小さいうちから慣れた方がいいから……おたくんそのままね?」


 僕はリハビリのために下半身を脱がされていた。下だけだよ?ちょっと恥ずかしいし緊張する。


「あの……おたるん……少しずつお願い」


「ちょっと、そんなにジロジロ見られてると緊張するよ?」


「おたくん、少しずつだから……えっと私からキスするね?」


「な……ゆきよんがおたるんに?ちょっと待って!それなら私が!」


 と言って杏子が僕にキスをしてきた。うん……これはちょっとヤバイかも。


「んん♡ぷはぁ♡……も、……もういいから!」


 少し下半身が反応してしまった。あ、……いいんだそれで。

 僕の子供は少し成長した。


「杏子?見える?少し触ってみる?」


「あ……これは……可愛い……あっ」


 杏子は僕の少し成長した子供を眺めて観察していた。あ、杏子が子供の頭をなでてくれているようだ。よしよしって感じで頭を撫でていた。


「おたるん♡この大きさなら……大丈夫みたい」


 まだ子供は成長途中だから、もっと大きくなれると思うけど今日はここまでかな。


「うん、頑張ったね杏子♡」


「杏子ちゃん?この子まだ大きくなるよ?」


 雪ちゃんは、子供はもっと大きくなるって言ってるけどまだ無理だからね?


「え?これで終わりじゃないの?」

「まだまだ……だよ?まだ多分三分の一くらいだよ?」


「え?この三倍になるの?」

「なるよー?多分、じゃないと赤ちゃん出来ないし?」


「……あとは任せたわ、ゆきよん……」


 杏子は青い顔で、雪ちゃんにパスを出した。


「あ、杏子ちゃんが逃げる!?」


「もう……だめぇ……きょうこちゃん、かえるぅ!」


「幼児化してる!?」


 杏子は、今日の所はもう限界のようだ。無理しないで一つずつクリアしていこうと思う。







読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。

手術を止めた日のその後でした。


レビュー☆☆☆にコメント、応援♡を頂けたらとても嬉しいです。


続編は今の所考えておりませんが、反響(レビュー)によっては外伝として、おたるんと杏子ちゃん、雪ちゃんの三角関係のその後を書くかもしれません。


また、他の作品の方もよろしくお願いします。

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