2. 通常営業(裏)

「相変わらず、オープンだな…」

 見た目はキレイで、言葉はオトコマエ。

 日本刀をこよなく愛する剣士で、精度上げの為によく来る常連・出居でいさん。

「いらっしゃいませ」

「チッ…」

 俺の耳元で大いに舌打ちをした須貝の腕に少し力が入って、ちょっと痛い…。

須貝すかい、おろせっ…」

「もうちょっと余韻を味わいたいんですけど…?」

 顔を近付けて来る須貝に、体全体で拒否する。

「無理っ…無理だ…からっ」

「無理じゃない、ですっ」

 バイトくん、本当に営業妨害だから。

「須貝です」

 ココロの声が、聞こえた…?

「須貝さん、嫌われ過ぎでしょ…」

 冷めた目つきで、イチャイチャしているように見えるこのやりとりを見守られている。

 止めに入らないのか…?

 その気持ちが通じたのか。

 ただ、バケモノを召喚して欲しい気持ちが高まってくれたのか。

 後者、だろうな…。

志井しいさん、何でもいいから出してくれないか?」

「断る」

「須貝が言うなよ…」

 体力消費が激しいから。

 本当はすぐにでも召喚してあげたいんだけど、さ…。

 この小さな体だと、以前の俺と同じことが簡単に出来ない。

「何でもいいなら、レベルが果てしなく高いコ召喚しちゃうけど…いい?」

「志井さんが救助ヘルプ入ってくれるなら…」

 それは、無理な話だな…。

「そうなると、救助はボクが入ります」

「須貝さんが…?」

 それくらい今の俺では、召喚してから救助する余力は召喚したモノによる。

 だから、

「召喚するには、志井さんの体を一時的に元に戻さないといけない」

 つまりは、

「満たされてない状態だとうまく召喚できないの…」

 変な言い方するな、バイトくん。

「須貝です」

 ココロの声が、ダダ漏れ…?

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