我が妹は四歳である。

いち、にい、さん、し。

我が母は四十四歳である。

しじゅうし。

我がワイヤレスイヤホンは『白いイヤホン』で登録されている。びびっと電気が流れて音が流れる。流星の如くすばやさで。流水のようなしずけさで。（おとをあげる）（そとをしゃだんする）（めいじゃーとむがおうとうする）

我が妹は金髪である。

きいろ。きんいろ。おうごんいろ。

我が母は茶髪である。

ちゃいろ。くりいろ。おうかっしょくいろ。

我がスマホは『我のスマホ』で登録されている。ぴぴっと電気が流れて映像が流れる。瞬きでかわりゆく流行の如きへんかで。よくわからない流派のような「かんれんどうが」のおおさで。（あかりをあげる）（そとをしゃだんする）（めいじゃーとむにおうとうする）

我はねっとのせかいを浮遊する。浮き輪に乗って流れるプールをいどうする。電線が水に浸かって感電する。びりり、びりりと、おぼれゆく。びりり、びりりと、BLUE PILLとRED PILLをかみちぎる。

我は黒髪。

くろいろ。すみいろ。いろなきいろ。

かぞくしゃしんをちぎる

みつあみをちぎる

そとのせかいを、かみちぎる

（画面にうつる自分の姿）

（鏡にうつる自分の姿）

（→ アカウントを作成し直しますか？）

（おうとうせよ。おうとうせよ）

（きこえますか？）

ねっとのせかいから見上げるつきは遠き。

ちっぽけな町から見下げるちきゅうは灰色。

我にできることなし。

（めいじゃーとむはおうとうせず）

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