第2話 なんで「サポーター」なんだろう?

 なんで、「サポーター」なんだろう?


 サポパスに関して、最初に疑問を感じたのが、これです。

 同時に、「やはりそう来るのか」とも思いました。この理由は、後でお話しします。


 まず、ギフトの仕様ですが、読者が作者さんへ贈るのは、1回きりの単発になっています。もちろん送りたければ、何度でも何度でも繰り返しギフトを贈ることができます。そういう仕様みたいです。


 また、『カクヨムサポーターズパスポート』に関する規約 を抜粋で引用ですが、


『第3条(パスポート会員)

8.パスポート会員は、パスポート会員の有効期間中、第5項のプランに沿った月額会員費を支払うものとします。(後略)』


 毎月、自動的にお支払いするのは、トリさんへの文房具代です。広告費を非表示にする機能のお代金もここに含まれます。

 あと、実際に買ってみましたが、ギフトの追加購入は簡単にできます。10個まとめ買いをすると、ひとつぶんお得です。推しの作者さんが大勢いる読者は、まとめ買いしましょう。

 

 つまり、サポーターになったからといっても、推しの作者さんへギフトが自動送信されるわけじゃないのです。

 早い話が、通りすがりの投げ銭みたいなのです。

 サポーターを続けるには、トリさんに毎月課金しつつ、作者さんへは毎月お手紙を書かなければいけない仕組みらしいのです。


 率直な感想で言うと、単純に投げ銭で良かったんじゃないかと。


 では、なぜ、サポーターなんていう仕組みにしたんでしょうか?





 ※ここからは、過去の決算説明資料などをもとに、推測で文章を書きます。

  間違っている可能性は盛大にありますから、信用してはいけません※



 

 

 なぜ、サポーターなんていう仕組みにしたんでしょうか?

 個人的な感想なのですが、

 コアファンを持つ作者さんを発掘したいから、

 ……ではないでしょうか?


 そう考える理由は、 2021年3月期 通期決算説明資料(2021年04月30日)にあります。カクヨムさんを運営しているのは、株式会社KADOKAWAさんと株式会社はてなさんです。はてなさんは、システムの開発・運営を受託している側なので、KADOKAWAさんの資料を見ていきます。

(はてなさんも、2月17日付けで「サポーターズパスポート」の提供を開始しましたという発表を自社のIR情報に載せています)


 で、先ほどの決算説明資料の場所ですが、カクヨムさんのトップページの一番下にKADOKAWAさんのロゴがありますから、これをクリック。

 KADOKAWAさんのホームページに飛んだら、一番下までスクロールして、IR情報をクリックしてください。


 IR資料の中のバックナンバーに、過去の決算説明資料があります。


 で、決算説明資料ですが、13ページから『中期経営方針』が説明されています。

 私は、出版業界の人ではないし、株取引とかもしてませんから、必要な箇所だけを抜粋で見ていきます。


 目標達成のための『打ち手』として6つ、施策が掲げられていますが、カクヨムさんに関係ありそうなのが……


1.新規IP 点数の拡大

2.DXの加速

4.アニメ事業の強化

でしょうか。


 4.アニメ事業の強化については、カクヨムコン7に「映画・映像化賞」が新設されたことからも、2021年6月に、『3DCGアニメーション・VFX制作スタジオ

「Studio KADAN」設立のお知らせ』があったことからも、きっと、本気なのでしょうね。


 カクヨムさんの名前があがっているのが、1.新規IP 点数の拡大 です。

 15ページですが、「新規IP点数の拡大」の中に、「Webでの新人発掘を強化」や「成長中のカクヨム・魔法のiらんどで新人発掘」などが挙げられています。


 つまり、カクヨムさんでは、書籍化デビューのチャンスが、これからもどんどん拡大するという方向みたいです。


 で、気になるのが「データマーケティングを強化」って言葉。

次の16ページ 2.DXの加速 では、より具体的にどんなことを目指していくのか、掲げられています。


 「攻めのDX」と「守りのDX」と、ふたつ挙げられていますが、サポーターパスポートに関係していると思うのは、「攻めのDX」の方です。

 この「攻めのDX」と書かれた枠の中に、、カクヨムサポーターパスポートが、なぜ、投げ銭なのにサポーターなのか、その答えがあると考えています。


 枠の右側、『SNSのデータを活用した作品開発でヒット率向上』のところを抜粋で引用します。


『著者発掘 • コアファンの数を指標化

 宣伝告知 • 著者SNS等での告知を強化』


 他にも書店データの活用など掲げられていますが、目に止まったのは、ここです。

 ギフトは、基本的に何の見返りもなく、読者が作者さんに有料のトリさん郵便で「気持ち」を伝えるシステムです。

 書籍に挟まれている読者カードに近い性質のものじゃないかと、思うのです。


 つまり、毎月150円を払って、応援のお手紙を書いてくれるコアファンがいる作者さんが、本を出したならば……

 当然、コアファンのみんなは買います。発売日に即買いです。買ったら、購入報告をツイッターにあげます。

 もちろん、作者さんが「書籍化します」といえば、お祝いしますし、書籍情報や宣伝はばりばりリツイートして、盛りあげに少しでも貢献しようとしますよね。


 この項目を読む限り、こうした応援活動が作品のヒット率をあげると、 KADOKAWAさんは考えているみたいなのです。バックには、何らかのデータを持っていると思います。もしも、そうなら、応援する側としては、こんな嬉しいことはないですよね。


 なので、予めこの通期決算説明資料を読んでいたから、トリさんがギフトやサポーターについて説明を始めたとき、やはり来たかと思ったのでした。



※IPとは、(Intellectual Property)知的財産権のことです。作者さんから見ると、著作権のことです。メディアミックスを収益構造の柱にして来た経緯から、重要視されていると思います。

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