2品目[大人の豪傑バイキングプレート]

 ここはお客様のどのようなご注文にもこたえるレストラン[わがままレストラン]、今日も夢のメニューを求めてお客様がやってくる。



「腹がいっぱいになるガッツリしたメニューがいい! ほら肉が「どーん」ってあって米とかスパゲッティーとかパンとかカロリー高めでよー、コロッケとか唐揚とかソーセージとかが、一皿にずらっと全部乗ったような奴でさ、でも何てーのかなそれじゃお子さまランチじゃねーかって感じじゃなくってさ、ただのかさだけ増した大盛メニューって感じでもなくて、えーと何て言うんだっけあれ」


 お客様のおとこ剛力多救ごうりきたすくは自分の頭の中のイメージを[わがままレストラン]ウェイターに伝えきれない様子だった。


「バイキング、でございますか?」

 [わがままレストラン]ウェイターが助け舟を出港させる。


「そう! そのバイキングだ!!」

 剛力多救は自分の食べたいメニューが言語化され頭にそのイメージが浮かんだ。


「では一皿に肉やコロッケ唐揚ソーセージ、ご飯ものスパゲッティー、パンの乗ったバイキングのようなメニューでよろしいですか?」

 [わがままレストラン]ウエイターは食べきれますかなどとは聞かない、食べきれる量でお出しする。


「おお、それ、それな!」

 剛力多救は[わがままレストラン]ウエイターに指をさし嬉しそうに答えた。



「かしこまりました」



***



「[大人の豪傑バイキングプレート]でございます」


 剛力多救の前、まるい銀のプレート皿に「どっさり」と乗ったまさに豪傑、バイキングが食べていたとイメージさせるようなメニューが出てきた。


「すげー、ゲームか漫画でしか見たことがねーような肉が乗ってんぞ!」


 剛力多救は目を輝かせる。


 おそらく豚の大腿骨に牛のスライス肉を何重にも巻いて作られた分厚い骨巻き肉のかたまりは、そのまるい銀のプレート皿の中で異彩を放っていた。


「じゃまずそれから行くか~~」


 剛力多救は当然そのゲームや漫画でしか見た事がないその骨巻き肉に心奪われ、まずそれに喰らいついた、牛の肉汁が溢れ豚の骨にぎっちり巻かれた牛のスライス肉は噛みきりやすいうえ適度な脂身のスライス肉と組み合わせられて旨味うまみを増していた。


「ウッメッ!!」


 剛力多救はすでにこのメニューのトリコだ。


「じゃ、次は米だ」


「おっ、ガーリックライスだ」


 剛力多救の口の中で骨巻き肉とガーリックライスが混ざる、うまいに決まってる!


「ガーリックライスは正解だぜ、ここにオムライスとかがのってたらワイルドなバイキングって感じが台無しだもんな」

 剛力多救はオムライスではお子さまランチっぽくなると思ったが『オムライスにこの肉を半分にして出してやればガキとか喜ぶんじゃね』とか考えた。


「でも次に喰うんだっらカレーでもぶちこんでもらうかな」


 剛力多救はすでに次のメニューの事を考えながらプレート添えられた、コロッケをつまみ口の中をもふもふさせたあとナポリタンスパゲッティーでそれを流し込みソーセージをパクり、さらにまたコロッケをつまみ口の中をもふもふさせたあとまたナポリタンスパゲッティーでそれを流し込み今度は唐揚をパクり。



「うめー、最高だぜ、だだ大盛ってメニューじゃねーし、ガキっぽくもない!」



 剛力多救は口の中の脂を落とすようにロールパンをほうばり大満足した。



***



ふう……


「ゴッツォさん、うまかったぜ」

 剛力多救は腹一杯の余韻よいんを楽しんでいる。


「お誉めの言葉ありがとうございます、またのご来店お待ちしております」

 [わがままレストラン]ウェイターは深々と頭を下げる。



 ここはお客様のどのようなご注文にもこたえるレストラン[わがままレストラン]、今日も夢のメニューを求めてお客様がやってくる。

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