第12話

太ももは思っていたよりもムッチリとしているが、手足は長くてバランスが取れている。



このアングルだと胸の大きさを確認できないのが残念だった。



恵一は舌なめずりをして写真を見つめる。




「まだだ……まだまだ過激なものが撮影できるはずだ」



そう呟いて真っ白か仮面を見つめた恵一は口角をゆがめて笑ったのだった。


☆☆☆


恵一の最終目標はリナの全裸を撮影することだった。



だけれどそれはプールの授業がないと難しい。



残念ながら恵一の通っている高校はプールの授業自体がなかった。



その目標は一旦保留にすることになってしまったが、まだもう1つの目標があった。



学校内で撮影できるもっとも過激な写真。



それはトイレ内の写真だった。



その写真を撮るためには女子トイレに入る必要があるが、それは今日休んでいることになっている恵一にとっては簡単なことだった。



授業中にあらかじめ女子トイレに侵入し、個室に鍵をかけて待機。



運よく、自分が入っている個室の左右どちらかにリナが入ってくれればいいだけだった。



恵一はさっそくB組から一番近い女子トイレに侵入した。



授業が終わるまであと20分ほど。



リナがトイレに入ってくる可能性。



そして左右のどちからの個室に入ってくる可能性は極めて低い。



だけど大丈夫。



1日はまだまだ長い。



チャンスは一度きりじゃないんだから。



恵一は舌なめずりをして、その時を待ったのだった。


学校が昼休憩に入ったとき、ようやくそのチャンスはやってきた。



個室で手持ち無沙汰にしていたときにリナの声が聞こえてきたのだ。



恵一はハッと息を飲んで仮面をかぶった。



右手はすぐにデジタルカメラを取り出す。



リナの声が恵一のいる隣の個室へ吸い込まれていったとき、内心でガッツポーズをとる。



いいぞ。



これ以上のチャンスはきっと二度とこない。



そう考えたとき、体がトイレの床にベッタリと這い蹲った。



「げっ」



一瞬そんな声が出て慌てて口をつぐむ。



完璧な盗撮をするために必要なことなのだと自分自身に言い聞かせて、息を止める。



アンモニア臭のする床に自分の頬がベッタリと張り付いたとき、さすがに吐き気を感じた。



そんなことはお構いなしに右手はトイレの下の隙間から隣の個室を連写する。



今リナがすぐ隣で放尿している。



そう思うと体がカッと熱くなり、吐き気はどこかへ吹き飛んでしまった。



時間にしてほんの2分か3分。



いや、そんなにかかっていなかったかしれない。



女子のトイレが意外と短いことを知って恵一は少し驚いていた。



長くなるのはその後の立ち話や身だしなみのチェックに忙しいからみたいだ。



今日の目標をすべて達成した恵一はようやくトイレの床から離れて、手の甲で自分の頬をぬぐったのだった。

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