第3話  大いなる厄災 その2

朝目覚める感覚は現実世界そのものだった


日光がとても眩しく感じるし、あるはずのない朝食の匂いがドアの向こう側から漂っていた


ドアノブの感触や毛布の触感までも今までのEOにはなかったものが確かにあった


「マジで夢じゃないのか....」


それに気づくと鼓動が早くなる


昨日のメイドの対応もあり、俺の考えが間違っていなければ。俺は人口5億8000万人の国のトップだ


「・・・・・・・・・・・・」


信じられるか?こんなこと


でも今は笑うしかなかった


笑えるうちに笑っとこう


フフっと一度だけ笑うとドアを開けていい匂いのする方に向かった






「おはようございますご主人様」


俺を迎えてくれたのは昨日のメイドも含め、俺が一体一体作成したNPC達だった


何もかもゲームの通りだ


ただ一つ違うのは皆マジで人間だということ


温もりがあり感情もある


軽く礼をして豪華な席に着く


朝食には食パンとベーコン、少量のサラダが並べられ普通に食べ始めた自分がいた


「うまいなぁ…」


美味しい、こんなにうまかったっけ?と疑問もあったがこの世界での初めての食事は美味しかった


広い部屋の中を見渡すと護衛メイドが数人おり、腰には銃と剣を添えている


未だに自分がそれほど守られるべき存在なのか疑問に思い、笑ってしまった


「味にご不満がございましたか?」


心配そうにそう言ってくるのは昨日手の出血を止めてくれたメイドの一人だ


確か名前は…と彼女の頭上を見るが名前は表示されてない


「つ、ツバキさんだったよね?」


疑問形なのはメイドは全員ロングヘアーの白髪だからだ


「はい、左様でございます」


「味はとてもおいしいんだ!え、と、昔のこと思い出してさ!ちょっと笑っただけなんだ!」


苦しい言い訳だが勢いに任せるしかなかった


「それは良かったです。ご主人様」


可愛い


いや可愛いのは可愛いのだけどなんだろう、聖母のような温かさをツバキさんに感じた


まさかこれが....恋かァ!!!???




朝食を食べ終わると、俺は私室に移動し用意された服を着る


「この服かっこよすぎるなぁ…」


自分でデザインした軍服だが、やはりいい


愛がある


こう見えて軍服のセンスは結構あるんじゃないかと自惚れしているとノックがした。


「ご主人様、あと10分でございます。車も到着しております」


「わ、わかりました!」


すぐに着替え部屋を出ると先ほどの護衛メイドも合わさってかなりの人数が俺を待っていた


動揺しそうになったが、こんな時こそ偉そうにしている方がそれっぽいか?と思い声を張って挨拶した


「おはよう!じゃあ行こうか」


どこに行くか全く聞いてないが流れに任せよう


クソ頑丈そうな車に乗せられ、ツバキさんとはお別れだ


一礼をしてくれるツバキさんを恋しく思う


っぱ聖母


ツバキさんに軽く手を振っているときに俺の横に座ったのが先ほどの護衛メイドだ


褐色の肌に白髪、そして高身長な女性でとってもきつそうな目をしている


実を言うとこういう女性も好みだ、自分で作ったNPCだからどの子にも愛着がわく


スカートのところから見えるストッキングがとてもセクシーだ


エロい!


そうして何分か経つと先ほどの場所よりさらに都市化が進んだ場所に来た


首都ソフィアの中央道路だ


6車線ある巨大な通りは広々としていて運転していても心地いいように作った


その美しい景観をぼーっと眺めていると、隣の褐色メイドが口を開いた


「もう着きますよ首相」


”首相”という言葉に違和感はあった、こんな俺みたいなのが国のトップで大丈夫だろうか?


俺はかなり不安があった


ていうか不安しかなかった


俺は真顔をのまま、褐色メイドに案内された宮殿に入る


その中ではゼグラーン連邦の最高幹部たちが続々と集まっていた
















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