第7話 あの人が来ると、雰囲気が・・・

 さてこのブラッシー先生は、例の事件の前から、あちこちの選挙、といっても、特定の筋だけだろうとは思われるが、選挙になると、よく出てくる人の一人でした。

 そもそも、選挙というものは、行かない人=棄権者が多いと問題にこそなっているけど、その一方には、真剣にやる人、それに乗っかってうごめく人、隙あらば何とやらな人、・・・、とにもかくにも、いろいろな人が出てくる世界です。


 そして、その中においてもっともそのことが端的に現れるのが、選挙事務所。

 誰かから呼ばれては、それではと手伝いに入る。

 手弁当の人もいれば、有償の運動員もいるし、政治志望の若い人とか、候補者の家族とか、まあ、いろいろやね。

 人のことは私も言えないけど、ブラッシー先生もまた、そのうちのお一人でした。

 ただ、過去形にしているのは、最近その筋でお見掛けしていないからということで、ご理解ください。


 で、このブラッシー先生、来ると、ね、なんか、ね、その場の雰囲気が、微妙になると申しましょうか、まあ、そうなるの。

 先に述べた、それこそ「ルンペン乞食」なんて表現をされた先輩がおられましたけど、まさに、そのイメージで見ていただくと吉(とは言えないか~苦笑)。そんな風貌の人がやってきて、まあ、運転手などしてくださるのですけど、お世辞にも、風貌はちょっと・・・、な方でしてね。

 で、そんな人が来た事務所の雰囲気はというと、まあ、私の出入りしている筋では皆さん、さほど気にされていないというか、明るく人のいい方がほとんどでしたもので、特に険悪になることはなかったですけど、あの事件前後から、やっぱり、いろいろありましてね。

 ある別の候補者の県議補選のとき、その市議会議員の方の大学の後輩になる方で、選挙参謀歴の長い方がおられて、そのおじさんが、ついに、ブラッシー先生をあることで、出入禁止にされました。


 まあもっとも、そのおじさんもちょっとどころか大いに困りものな人では、ありましたが、それはまた別のお話ということで。

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