8 シリアスモードはゴメンです。
◆ユーホー現れる
その日、東京お台場上空に現れた巨大円盤。
ゆっくりと回転しながら落下中。
街は人々が逃げ惑い阿鼻叫喚の状況だ。
すると間もなく、円盤上部から現れたのはタコの様な宇宙人?!
「我々ハ宇宙人ダ。地球人ヨ、降伏セヨ。地球ハ青ク美シイ。我々ノ観光地ニ最適ダ」
何と宇宙人の襲来だった。
しかも地球の観光地化を狙い、征服しようとやってきた悪の宇宙人達だ。
既に円盤の接近でパニックになっているお台場マンション街。
このままでは宇宙人の思いのまま、お台場は勿論、日本全体が彼らの観光地にされてしまう。
一体どうすればいいのだろうか!?
ザッ
「平和に暮らしていた人々をパニックに陥れ、お台場を勝手に宇宙人の観光地化する悪の宇宙人!私はソレを決して許さない!!」
その時だった。
ちょうどお台場ステージで子供ショーの真っ最中であった正義の魔法少女ラブリーミラー。
彼女は子供達を安全に避難誘導してから、再びこのお台場ステージに一人、戻ってきたのだ。
しかし彼女はまだ変身前のビジネススーツ。
実は彼女、高校卒業前でリクルート活動中。
お台場ステージのアルバイトをこなしながら周辺の企業に就職活動していたのだ。
第一志望は○ジテレビとか、○ジテレビとか、○ジテレビとか、○ジテレビとか……
「くっ、高卒じゃアナウンサー厳しいとか、聞いてないわよ!!」
彼女は変身の用意をしながらつい、愚痴が溢れる。どうやらリクルートは上手くいってないらしい。
くるくるくる
彼女は魔法のロッドをビジネススーツの内ポケットから出すと、目の前でバトンの様に回し始める。
するとバトンは、もとい、魔法のロッドはピンクの光を放ち輝き出した。
『マジカルカード▪セットUP!ミラクルチェンジ!』
彼女はすかさずロッドに魔法陣カードを差し込み叫んだ。
ビカーッ
大きなハートがラブリーを包む。
ビジネススーツが消えて身体の線がしっかり見えるシルエット、そのままポーズをとると全身が輝いた。
【輝く光は正義の心。悪の栄える試し無し。愛と正義の使徒!魔法少女ラブリーミラー!只今、参上!!】
間も無く光が消えると、腰まで長いピンク髪をなびかせたフリフリのミニスカート姿の少女が立っていた。
彼女こそ、あの世界を恐怖させた悪の秘密組織ダメダメ団を倒した正義の使徒、魔法少女ラブリーミラーである!
「そこのタコ……いえ、悪の宇宙人!これ以上、お台場の平和は壊させない!」
「何ダ、オ前ハ?」
「私は正義の使徒、魔法少女ラブリーミラーよ!貴方方のこれ以上の横暴は許さない。さっさと宇宙に帰りなさい!」
「生意気ナ!タカガ矮小ノ原住民ガ。我々ハ宇宙人ダ。地球の観光地化計画ヲ阻ムナラ排除シテヤル!」
ビカーッ、バシューッ
タコ……いや、宇宙人が円盤上部の丸い透明カバーの中でボタン操作する。
すると円盤からレーザー光線が発射された。
ラブリーは飛行モードを使い回避するが、レーザーはお台場の海にあたり、一瞬で海水を蒸発させる。
沸騰した海からは沢山の魚が茹であがり、資源のとんだ無駄遣いだ。
「ああ、何て事を?!」
「ハッハッハッ、消エルガイイ!!」
ビカーッ、ビカーッ、ガガーンッ
次々に放たれるレーザーの光。
ラブリーは攻撃に転じたいが、これでは円盤に近づく事も出来ない。
「ラブリー、私に任せろ!とうっ!!」
「あ、貴方は!?」
突然現れたその人影は背丈は185cm、茶髪ロングで目だけの仮面、真っ赤な長いスカーフを纏い、真っ白い繋ぎスーツに手は白手袋、白いブーツの均整のとれた容姿を感じる男。
❪ワッテハイルマン❫だった。
「あ、貴方はもしや!!」
「ふふふラブリー、私の事を覚えていてくれたかい?」
ガシッ
その瞬間だった。
【ワッテハイルマン】に掴みかかるラブリーミラー。
空中で縺れて、きりきり舞いで落下する。
「売上金ドロボー!お金を返しなさい!」
「うわわわっ!?ま、ま、待って!!」
「何ヲ内輪揉メシテルノダ??」
タコ……いや、悪の宇宙人が首を傾げる中、ラブリーに髪を捕まれた【ワッテハイルマン】。
スポッと、カツラが取れてしまう。
しかも頭はスキンヘッド、額にニコちゃんマークのワッペンが張ってある。
「カツラ!?貴方、ハゲだったの!!ひどい、最初から私を騙していたのね!」
「だ、騙してたっ。ご覧の通り私は、世界征服を企む悪の組織ニコちゃんワッペン党の怪人だったんだ。すまない。今はワッペン党から足を洗ったんだ。信じてくれ!」
そう言って額のワッペンを剥がした【ワッテハイルマン】。
だが、何故かラブリーの顔は晴れない。
「ラ、ラブリー?」
「騙してた。イケメンだと、私の初恋だったのに……」
「すまない。だからワッペン党から足を……ん?イケメン??」
「私はハゲは大嫌い━━━━━━━━ッ!」
ドンッ
「ハゲーっ!??そんな馬鹿なーっ!?」
ラブリーに吹き飛ばされる【ワッテハイルマン】。
キラーンッ
哀れ【ワッテハイルマン】、せっかくラブリーの助太刀しようと駆けつけたのだが、彼女に吹き飛ばされて夜空の星になったとさ。
「我々ハ宇宙人ダ。我々ヲ忘レテナイカ?」
その顛末を黙って待っていた円盤と宇宙人。
果たしてラブリーは宇宙人に勝てるのか?
このドラマに終わりがあるのか?
次回、こうご期待。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます