その34.顔、外見、容姿という呪い

自分の容姿に自信がある人なんて、おそらくほとんどいないだろうとは思う。

私も、自分の顔が大嫌いだ。


好きな恰好を、職場でかろうじてできている。

好きな靴……ヒールやパンプスを履いて、カツカツという音を楽しんでいられる。

スカートが足にまとわりついてくる感触を楽しんでいられる。


でも、鏡やガラスにふと映る、自分の顔に、いつもギョッとする。


「こんな醜い顔で、何をしているのだろう」


そう思うのを止めることはできない。


私は私が嫌いだ。


私の外見が嫌いだ。


顔が嫌いだ。


鏡に映る自分は、なぜこんなにも滑稽なのだろう。



呪いといってもいいだろう。

束の間、忘れることができたとしても、自分自身への嫌悪感は、どうしても離れて行ってくれない。


もっと楽に生きられたらいいのに。

外見なんか気にせず、楽にいこう。


そう思ってる。

もちろん、そう思う。


私も、好きでこんなことばかり思っている訳ではない。


でも、着替えようとするときなんかに、絶対に脳裏をよぎる。


「どうせ似合わないのに」

「その顔には不釣り合いだ」


鏡に映る自分の顔に対して、いつもそう思う。



この呪いから解放されたい。


でも、この国で外見を気にしないでいることは


きっと、ものすごく難しいことなんだと思う。


誰かに愛されたとしても


この顔が好きだと言われたとしても


私は絶対に、私の顔を好きだとは言わない。


誰かに好きだといわれるだけじゃ足りないんだと思う。


どうしたら、自分の顔を好きだと思えるんだろう。


私は、私の顔を好きになってみたい。


どうして、私の顔は、こんなにも女装が似合わないのだろう。


この呪いを、今日も自分にかけている。

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