第10話 自動車学校 その5

仮免を取り終え、いざ本道へ……の前に先に学科を終わらせたい僕。内容も格段と上がるわけでもなく、どちらかと言えば、道路に出た時にこういう看板があるから注意ね!とか、こことか試験でよく出るとかなど、まぁ~つまらないつまらない。最後に人命救護の授業ではちょっとした珍事件が起きた。


「え~それでは一人一人そのグループ内でやってもらう」


「せんせ~」


「なんだ」


「この装置ってLEDだっけぇ?」


「それはAED。君が言っているのは電気の方のLED。みんな間違えない様にね!」


「は~い」


(まぁ、似てるっちゃ似てるけども……)


すると先生が仕切り直しのために手を叩いて


「ハイハイ、やるよ~。よ~い、はじめ!」



この合図をもって皆人命救護にとりかかった。あるグループでは


「はい〇〇さんは救急に電話。はい、〇〇はLED。はい、〇〇さんはAED。」


またあるグループでは


「〇〇さん!そこにあるLEDを取ってきてください。僕が心臓マッサージをします!」


など案外本気である。もちろん人命救護の予行練習なので、当たり前といえば当たり前なのだが。当然僕も真面目にやりましたよ?


全て終えて先生から一言。


「お前ら、これからの人生で、この様な事がない事が一番なのは言わなくても分かるよな。そして今、お前たちの救護を見させてもらった。よくやった。この言葉以外見当たらねぇ。実技、頑張れよ。」


そう言ってチャイムをBGMに先生は教室から出て行った。




先生……あんたのせいでLEDで人命救助をする輩が出てくるかもしれません………今のところ聞いた事はありませんが。




次回 路上実習編から卒業まで

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