第8話 自動車学校 その3

木村への苦情用紙を提出し、いざパネルの前へと赴きカードを入れる。予約で入れる日をタッチして祈る様に教官を見た。すると「稲田」と表記されていた。明らかに言えることは「木村」ではないのだ。プラトーン並みに仰反る僕。

ルンルン気分で実技に向かうとそこにいた人は少し熟女に分類される大人しめな綺麗な方だった。


「稲田と申します。森くん!頑張ろうね!」


「ご指導お願いします!」


あぁ、僕が待ち焦がれていた関係はこれなのだ。早速タイヤ確認をしていると稲田さんが


「偉ね~」


とのお褒めの言葉が。すぐに調子に乗ってしまうタイプの僕は


「そ、そんなことなかですよ~」


とデレデレ。


そして車に乗り込むと稲田さんが小学生に質問する様に


「まずどうするんだっけ?」


と優しく尋ねる。すると僕はキリッとした顔で


「シートベルトを締めます。そしてブレーキを踏みながらサイドブレーキを下ろし、ドライブモードへ。そして座右確認してゆっくり出る」


この手順に稲田さんは拍手をしてくれた。少し嬉しかったことを覚えている。その後は順調に教官ブレーキが踏まれることもなく一時間が終了した。なんということでしょう。こんな優雅で楽しい実習は初めてだ。常にこんな人に当たればいいのだが……。


学科を全て終わり、後は二回乗って仮免の試験を受けるだけとなった。残りの二回、ここでハンコを押してもらえなければ永遠に仮免取れず5000円払う事になる。そう思っていると画面に二時間連続で予約が取れた第一「稲田さん」、第二「村田さん」。最終チェックをする人は村田さんだ。果たして「村田さん」はどの様な人なのか!



続く!!

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