第6話 自動車学校 その1

大学1年になり、親から「早めに免許取ってきたら」とのアドバイスという名の圧力があり、近場の自動車学校へ。僕的には『免許合宿』でパパッと取る手も考えたが、いかんせん『知らない人と数週間共にする』という条件が致命的だったので近場の自動車学校を選んだのだ。

自動車学校では学科と実技があるのは昔も今も変わらない。ただ、学科が暇すぎる。

とある授業では友達複数人と固まって受けているのかとにかくうるさい。そして僕が言うのもなんだけども『バカ』ばっか。


バカA「せんせぇ、水が沸騰する温度って60度だよなぁ?」


バカB「ちげぇって。俺言ってんじゃん、50度だって。」


自動車学校の先生は『何故、急に水の沸騰温度を聞いてきたのか』と『水の沸騰温度すら分からないのか……』のダブルパンチで困惑気味。しかし、そこは自動車学校とはいえ先生は先生。顔をキリッとさせて黒板に


『水は100度で沸騰!油は150度!』


「おお~!!」


上がる歓声と響めき。


「せんせぇ凄ぇ……」


「ヤバくね?え?ヤバすぎなんですけど~」


水の沸点を知ってる、更に追加で油の沸点まで書いた、これだけで彼らの中で、先生は神の領域に達してしまった。そんな尊敬の眼差しに先生も満更ではない様子。まぁ、何はともあれ授業は無事に終わったから良かった。ただ……先生、油の沸点は約180度ですぜ……。

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