第47話 騙したのは誰

「よく、来てくれた」



ナナショク王国に皆で帰ってきて、作戦を実行する事に

玉座にいる魔王は堂々としたもので現在魔法が使えないとは思えない程であった



「魔王様の命令ですから、それより……何故わが軍を攻撃したのです!」

「此方が聞きたいです!!」

「俺の前で喧嘩するな、俺の力を分かってないとでも?」


魔王は魔力がまだ完全に回復しておらずハッタリだ。

だがハッタリでも行動しない訳にはいかない

『犯行声明』として『爆弾をしかけた』と会社に届いたらハッタリとは分かりつつも警察は調べるのである。


「……すみません」

「オホン、で――――まずはマグシェルの王から聞こう、何があった?」

「我が軍の部隊と合同訓練を行いたいというので部隊を向かわせた……全て皆殺しにされたのだ!!」

「なっ!?それはこっちの台詞です!」

「兵たちは誰も帰ってこなかった……その地へ別の兵を向かわせたら、見た事もないような死体の山で」

「見たことも無い量なのか?」

「いや量ではなく、バラバラに引きちぎられていて皮膚が溶けているうえに内臓がむき出しの死体で」


旧世界の人類には思い当る『兵器』があった。


「――――なるほど」

「ねぇそれって」

「いや、憶測は後にしよう6024……それでラビリスの王も同じ主張だと?」

「はい、そして我々が死体の山がある現場へついた時に大きな黒い雲が……雨も黒かったんですよ」

「黒雲に黒雨か、ならば確定だな」

「何がです?」

「一つ聞くが、合同訓練とやらは何で知らせを受けた?」

「伝令兵がやってきて……」

「こっちもだ」

「その伝令兵に見覚えはあったのか?」

「いいや」

「無いが」


仲の良さの隙をついた、敵の作戦が見えた気がした。



「はめられたな、全く……」



「なら兄上は私の国を亡ぼす気はないと!?」

「当たり前だろ!!母上の産まれた故郷を何故わたしが滅ぼさねばならん!!」

「……私だってそうですよ」


魔王がコホンと咳を一つ


「どうやら、また何者かが世界で暗躍しているらしい」

「もしやゼルディンですか?」

「彼は魔王様が焼いたはず……違う者でしょうな」

「間違いなく違う者なんだが、まだ尻尾の先しか見えていなくてな」


苦笑いの魔王。


「でも、どう考えても旧世界の技術を持ってる人たちだ」


その台詞は王妃の物で、魔王の部屋にいつのまにか入って来ていた。


「6024!?何故ここに……危ないから部屋に戻ってはくれないか?」

「他所の国に行って確信した、魔法なんて存在しないって」

「シグラルの魔法は明らかに存在して……」

「『動力』がある移動を本来魔法とは呼ばないよ、魔法風もただエネルギーのある風だった」



「魔法が無い!?この国の王妃はいったい何をいいだすのです!?」

「そうですよ、魔王がいるでしょうに!!」


二人の王は信じられないと反論した



「旧世界とは真逆の反応をされる……無から何でも出来る魔法なんてある訳ないんだ」

「しかしこうして皆が転生して世界も明らかに変わっているのに」

「確かに国々は知らない所ばっかりで日本も無い、けれど」



『僕』『私』『アタシ』


日本語というのは奇跡の連続で出来ている、何故異世界で使われているのか聞けば理由を知るものはいない。

魔法陣に転生してくるというが、何故か人は姿がかわりクローンはそのままで法則性がある。

さらに一度も転生したもので『日本以外』から転生した者がいないのだ。


満月は自分が覚えているよりもはるかに小さい、決定打となっていた。








「ここ、未来の地球だと思う」

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