第二章 ネフィス編

第二章 第1話 旅に出て初めての狩り

 

 ここから俺の冒険が始まる。その思いを胸に俺は師匠に別れを告げて、旅立った。






 






 そして5時間後…



「ここどこだーーーーっ!!!!」


 俺は山の中で叫んでいた。修行していた山ではない。


 迷子!ガチの迷子!

 あんないい感じで旅立つことができたのにたった5時間でこの有様だ。

 やべー、どうしよう。ちゃんと生きていけるか心配になってきた。


「いや、まずは落ち着け。とりあえず進み続けていればきっとどこかの街とか村とかに出れるはずだ」


 この山は大きいが、俺が修行していた山ほどではない。きっと走っているうちに出ることができるはず! たぶん...

 だけどその前に、


「腹減ったな」


 俺は腹が減っていた。朝食何も食ってねえから途中でお腹が鳴る。


―ぐうううぅ


 な?

 だからとりあえず何かしら魔物を狩って腹を満たさねえと。

 この山だったら食える魔物の一匹や二匹いんだろ。

 

 


 

 そして食べれる魔物を探し始めてから十分後...


「いた」


 体長1メートルほどのイノシシ型の魔物がいた。

 レッドボアという魔物だ。危険度はEランク。俺の敵ではない。

 あれくらいだったら刀を使うまでもないか。


「よし」


 俺は荷袋と刀を静かに地面に置く。そして草を食べているレッドボアに音を立てずにこっそりと近づく。

 まだこちらには気づいてない。


「ふっ!」


 俺はレッドボアの真上に一気に飛び上がる。


「ブヒっ!?」


 俺が地面をおもいっきり蹴った音を聞いて、レッドボアは俺に気が付いた。だがもう遅い。


「すうぅ...」


 俺は息を吸い、右手に気を込める。


「せいっ!!」


 そしてレッドボアの背中を殴る。



 気術 “瞬勁しゅんけい



 殴った手がレッドボアに触れた瞬間、手に込めた気を一気にレッドボアの体内に流し込む。


――ドサッ


 レッドボアは、うめき声をあげずにそのまま倒れて絶命した。


「よっしゃああ!今日の昼飯じゃあああ!!!」


 俺はすぐに魔物を捌くためにナイフを取り出して、レッドボアを解体する。


「うわ、内臓ズタズタだ。何度見ても慣れないなこのエグい感じ。この技、人には絶対に使っちゃ駄目だな」


 解体してみると、レッドボアの体内の内臓が全てぐちゃぐちゃになっていた。これが瞬勁という技の恐ろしさである。

 手に気を込めて相手を殴ると同時に、その込めた気を相手の体内に一気に流し込む。そうすると相手の身体を内側から破壊するため、このレッドボアのように、内臓がズタズタになって死んでしまう。

 この技のデメリットは、手に気を込めすぎて相手を殴ると、その殴った相手がそのまま爆発して,木端微塵になる。修行の時に何回か、魔物相手にやってしまったことがあり、その時魔物が爆発したのを見て、その地獄絵図に耐え切れず、気絶してしまったことがある。

 

 これだけ聞いたら、めっちゃ強いじゃんと思うかもしれないが、問題はそこじゃない。相手に流し込める気の量には、それぞれ限度があり、手に込めた気が少しでも余ってしまうと、その余った気が手の血管を破裂させる。

 

 想像してみろよ? 手の血管がパンッ! つって破裂すんだぜ?

 そのためこの技は、相手に流し込むことができる気の量がどれくらいなのかを瞬時に分析し、そして倒すのに必要な量の気を、一瞬にして手に込めるという極限の集中力を必要とされる技だ。俺は習得するのに6年はかかった。それほど気の制御というのは、とても難しいのである。

 


 技の説明はこれくらいにして、俺は解体したレッドボアの肉を、その辺に落ちていた木の枝を数本拾い、切り取ったレッドボアの肉を一本あたり2、3個ほど刺す。

 そして、余った木の枝を一か所に集め、荷袋から火打石を取り出して火をつける。

 

 肉を焼き始めてから十数分後、焼き色がついてきた。俺は焼いたレッドボアの肉を口に入れる。


「やっぱうめえな。流石レッドボア」


 レッドボアの肉は、街とかによく売られている。値段も安く、油が少なく食べやすいため、食材として世界中から愛されているらしい。

 

「よし! 腹も膨れたし、とっととこの山出て街に行って冒険者登録すっか!」


 三十分ほどでレッドボアの肉を残さず全て食べきった。

 そして走り出し、山の中を駆け抜ける。





「おっ! あれ街じゃねえか?」


 ずっと走っていると、数百メートルほど先にそこそこ大きな街が見えた。

 

 俺はその街に向かって、一直線に突き進む。





――――あとがき――――

 第二章の始まりです。ここからが本格的な物語の始まりと言っていいでしょう。

 何度も言いますが、自分は小説を書き始めた初心者です。おかしいところがあったら指摘して頂けると、ものすごくありがたいです。



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