第31話 昼休み

 基本的に魔法を使う場合、補助具を使う。

 補助具がなくても魔法を放てられるが、補助具があると半分の魔力で魔法を使える。

 また、魔力変換に倍の時間を要するから、普通はステッキや杖を持つ。

 魔力変換とは、魔力を発動する魔法が受け入れる内容に変換する事だ。

 また、魔剣にもその役目があり、武器に補助具の効果が付与されている物もある。


 しかし、高価な武具には魔石を組み込み、魔力無しでも魔法を使えたり、高威力の魔法を放てられる物がある。

 以前の不正とはそのような魔導具を身に着けて試験に挑み、魔力無しが合格した事だ。


 その為、試験前に同性からボディーチェックを受け、アカデミーが用意したステッキのみを使う。

 魔法をまだ覚えていない者はファイヤーボールが組み込まれたステッキを使う。

 魔石を入れると魔石の魔力を使い魔法を放てられるが、そこには魔力の無い魔石、つまり使用済みの魔石がセットされている。


 どれを使うかは抽選で決まる。

 抽選箱に番号が書かれており、皆の前でくじを引く等徹底している。


 練魔法場は陸上競技場のような作りで、外周には観覧席がある。

 また、観覧席の上に屋根というか、庇がある。

 それと貴賓席があり、視察に来た貴族や王族が座る事が可能なようになっている。

 何故ならば警備の関係で退路が確保されており、出入り口が限られているからだ。

 襲われ難く守りやすいからでもあり、決してもてなす目的ではない。


 だが、実際は個室になっており、もてなす場になっている。

 それに魔法結界が個別に張られていて、万が一生徒が暴走して爆発しても大丈夫ようになっているのだ。


 魔法を練習する場に屋根はなく、屋外運動場としても使われている。

 そしてその性質上、町の外周部にある。


 魔力暴走というのがあり、数年に1度制御不可になった者が無限に魔力を周りから吸収し出し、ある程度貯まると限界が来てしまい、そうなると爆発して死んでしまう。 

 それを防ぐ為、魔力持ちは王立アカデミーで魔法の制御を学ぶ事を推奨されている。


 察した人もいるかもだが、意図的に人間爆弾として高威力の兵器にする事もあるが、その者は確実に死ぬ。

 中には家族に高額のお金を渡す対価に自らを差し出す確信者もいる。

 家族の罪を1人の犠牲者を出す事で免除する等だ。


 練魔法場にて晃司達はアモネスと合流しようとしたが、またもやトラブルが起こる。


 アモネスに気が付いたエリーがラミィの手を引き、必然的に晃司とネリスも続く。


 そしてアモネスの近くに来ると、3人の騎士風の女従者に遮られた。


「平民風情が王女様に何用か?無礼だぞ!」


 そしてアモネスと話し込んでいた主の3人が晃司に突っ掛かる。


 青髪のロングが先陣を切った。


「下賤の分際でアモネス王女殿下に近付くとは無礼ですわ」


 続いて黄色(金髪)の縦ロール


「時々おりますわね。卑しい身分の者が勘違いなされるのって」


 そして赤髪のポニーテール


「来る場所を間違えてましてよ。そのようなみすぼらしい格好で殿下に近付こうとするだなんて恥を知りなさい!」


 アモネスは真っ青だ。

 他の者は晃司のような平民が近付こうとして恐怖したと勘違いしているが、従者のライラはくすくすと笑っていた。


「はあ?赤青黄色とお前ら信号か?ギルドの募集でお姫さんの護衛を請け負っていて、アモネス殿下からは筆記が終わったら自分の所にくるようにと言われているから来たんだが」


「嘘おっしゃい。ほら見てご覧なさい。殿下は真っ青ですわよ。それとも私達を口説こうとなさっているならお話になりませんわ。有り得ませんがトップ合格ならお茶位付き合うかもですが、残念ながら私達は既に嫁ぎ先が決まっておりますのよ。貴方のような冴えなさそうな者ではなく、類稀な御方に嫁ぐのですわ。諦めてお帰りになられましたら?」


 セリーシャが剣を抜き、晃司の首元に突き付けた。


「セリーシャ、剣を引きなさい。晃司さんは本当に私の護衛をする方ですのよ」


 3人は驚いた


「護衛ならば私や私達の姫騎士がおりますわよ!」


 ネリスが晃司の後ろからすっと出てきた。


 3人の従者が肩に手をやり驚いておりハモった。


「ネリス副長!」


「お前達は私を知っているな。私はアモネス殿下の護衛を仰せつかった者の1人だが、残念だが魔力がない。そこでギルドに私を従者としてアカデミーに通う者の相談と、殿下の従兄弟のエリー殿の入学を希望され、殿下の護衛を兼ねて男女ひとりづつをと相談したら晃司殿が紹介されてきたのだ。また、エリー殿はラミィ殿の従者だ。ギルドの紹介だから実力者だぞ!」


 赤青黄色の3人娘は口をパクパクし、アモネスは額を押さえ「頭が痛いわ・・・」そう唸るしかなかったのであった。

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