第27話 閑話アモネスとの買い物デートと本性

「・・・晃司様、晃司様、おまたせして申し訳ありませんでしたが、着替えが終わりましたわ」


 晃司は肩を揺すられて目を擦りながら体を起こしたが、先程渡した服に着替え終わっている2人がいた。

 美少女2人の姿に見惚れるもあれっ?と思う。


 確か着替えを手伝っていたら、裸になって・・・あの素晴らしい胸が頭から離れない。何故あのような事になったのか現実離れしていて混乱していた。


「視姦ですか?エロい目で私達を脳内で犯しているのですか?相変わらずのスケベですね!」


「何で俺は机に突っ伏していたんだ?確かお前が服を脱いで裸になって、何故かお前にインナーを着ける羽目になったはずだけど、その後の記憶がないな」


「何を訳の分からぬ事を言っているのだ?私が貴様の前で脱ぐ訳がなかろう。そういう目で我らの事を見ておるのだな?頭の中で私達を何回犯したのだ?」


「そうだよな。お前がそんな事をする訳ないもんな。変な事を聞いて悪かったな。そうか。着替えて戻る前に俺は寝ちまったのか。じゃあ準備が出来たようだから、あ、アモネス、買い物に行こうか?」


「はい!晃司、宜しくお願いします!私が欲しいのは・・・」


 俺達は後ろに何人もの変装した者達を引き連れて町に繰り出した。


「相変わらずですわね。私が気が付いていないと思っているのかしら?ライラだけは本当に自分の買い物なのかと思ったのですが、つまらないわね。晃司、先に私の買い物に付き合ってくださいな。その後ライラに声を掛けて3人で晃司の買い物をしましょう!」


 晃司はある意味感心し、警戒もした。

 のほほんとして気が付いていない振りをし、その振りはライラが本気でアモネスがこの手の事に気が付かないと思わせる位だ。

 今は恋人のように腕を組んでいる。

 実は切れ者か?と驚いていた。

 そしてわざとらしく胸に腕を押し当てているので、その胸の感触にどきりとする。


「驚いたな。ライラの話だと護衛がぞろぞろといるのを気が付かないと言っていたが、これはアモネスの評価を変えないとか?お前ひょっとして普段は本当の自分を殺しているのか?」


「ふふふ。お城では良い子のお嬢様でしょ?あれはあれで疲れるのよ。本当の私を晃司に知って貰いたかったの。一応言っておくと、ラミィに紳士にしているから晃司の事を気に入ったの。でなければ可哀想なネリスと、あの3人だけ晃司に宛てがおうと思っていたの。それと私の胸の感想は?あれはあれで少しは傷付くのよ」


「やっぱりあれは現実か。何故か聞いても良いか?」


「晃司の人となりを見極めるためよ。もし押し倒してきたらライラが助けてくれるから」


「で、俺は素晴らしい胸の持ち主の合格を貰ったのか?」


「うふ。気に入りましてよ!ただ、ライラは私の前に貴方の筆おろしか、練習台になる為に抱かれる運命だから優しくしてあげて。あの子、あれでもかなりうぶなのよ。あの子あんなだけど、本気で晃司の事を好きになっているから、少し甘い言葉を掛けて優しくすればちょろいわよ」


「へー!アモネスって箱入りのお姫様かと思ったらこんななんだ」


「幻滅しまして!?」


「いや、あのお姫様お姫様した感じは苦手なんだけど、今のアモネスなら好きだな。でも俺は今のところラミィ一筋だぞ」


「あの子とはもう話がついているのよ。私が正妻であの子はそうね、対外的な序列だと後ろの方で、ライラの前かしら。でも、私的にはあの子が正妻よ」


「俺の国の事を知っているか?俺の国では1人の女を愛するのが当たり前だぞ。複数の女と付き合うなんて忌避されていたぞ。一夫一妻制だぞ」


「ここは晃司のいた世界とは異なるのですよ。素敵なお話ですけど、それでは強い子が生まれず、早晩この世界は滅びるの。何で一夫多妻制度があると思っているの?別に為政者が己の慾望を満たす為にあるのではないの。強い雄に惹かれるのは動物としての本能よ。晃司様、誰かが私にスキルを使いましたわ。これからの話は誰かに聞かれる事と心得てくださいませ。その話はまた後で」


 確かに背中に少しぞわっとした感じが働いた。

 成る程、誰かにスキルを掛けられるとこうなるのか。覚えておこう。


 結局のところ、アモネスは俺がお姫様お姫様しているのを苦手とする事に気が付いており、隠していた本性を出す事に決めたようだ。

 本当はもっと後でカミングアウトするはずだったようだ。


 彼女の買い物も単なる方便で、ライラ、ラミィ、ネリスへの贈り物を自ら選んで買っていた。

 俺と密着して話す機会を得たかっただけで、ライラにはお仕置きをすると言っていた。 


 何故お仕置きをと思ったら、俺に対する口の聞き方が貴様とか、お前とかだからだと。

 着替えの話も晃司の事を見極めたいだけなら、何も肌を晒す事はなかったのだが、ライラになぜそうしたのかを確かめるのと、晃司へのご褒美として肌を見せた時に真っ赤になりオロオロする所を見たかっただけたと、単なる意地悪だとか。

 後は女の意地。


 それを聞いて晃司もライラをいじめようと決めた。


 アモネスの買い物が終わると、アモネスはズカズカとライラの方に行き、その腕を掴むと強引に引っ張っって晃司の前に連れてきた。


「ほら晃司、ライラと私で両手に花ですわよ。嬉しいでしょ?」


「ライラ、アモネスは君が思っているよりもしたたかな女だぞ。それとさっきは良くも頭を殴ってくれたな。お前の胸って思ったより大きいけど、垂れていなくて中々綺麗だったぞ。罰として女らしく町娘風にして3人で買い物デートだ」


 ライラは恨めしそうな目でアモネスを見るが、ウインクをされた。

 晃司の人となりを見極めるのは嘘で、晃司の為にしたのだと理解した。

 

「お嬢様、図られましたね。このライラ一生の不覚。晃司、覚えていなさい!後でちょん切ってやる!」


「ライラ、それでは私が晃司の子を産めなくなってしまって困りますから、別の事にしなさい!」 


 「お嬢様の意地悪!ライラはもう知りません!その男にとっととやられて孕まされると良いのよ!」


 ライラはからかわれていると分かると、珍しい事にアモネスに毒付いていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る