第6話 町へ

 晃司は町へ向かう道中、ラミィから色々教えて貰っていた。

 ラミィは宜しくねと握手をした時に手が綺麗だったから、働かなくても済む育ちをしてきた人なのだと理解した。

 だから魔物について疎かったのかと。

 貴族のお家騒動や何かに巻き込まれて殺され掛かったのかなとは思うが、訛がなく上品な喋り方だったので、川の上流から流されてきた隣国の者と認識した。


 ラミィは晃司の姿から普通の者ではないという事は、ひと目見て感じていたのだ。


 改めてラミィを見るとこんな感じだった。


 身長150cm

 痩せ型

 14歳

 肩迄の青髪。ボサボサで手入れをしていない

 目も青だ。

 体は年齢相応に出るところは出ているが、まあ風呂で見た3人の胸と比べてもそんなに変わらないから、普通?かなと。


 お互い自己紹介をした。

 ラミィは近くの村の出身だが、大人になり自活を求められた。

 元々親は亡くなっており、村長に育てられていた。

 半年程前からこの町に来ているのだが、ボッチであり薬草採取で細々と食い繋げているのだという。

 宿は1番安い所どころか、宿の草置き場にシーツを敷いて寝ているというのだ。 


 戦う事が出来ず、薬草採取をしており、魔物が出そうなら逃げているという。


 剣は村長に餞別として渡された。

 そのうち体を売るしかないのかな?と、周りからも女だからいざとなったら体を売るしかないと言われていて、何とかそんな事をしなくても済むよう冒険者をしてお金を稼いでいた。


 戦闘訓練をした事もなく、冒険者パーティーに入れて欲しいと散々頼みまくったが、断られ続けているというのだ。


 時折ギルドの募集で荷物持ちの依頼を受けているが、底辺扱いでかなり酷いとぼやいていた。


 要は戦う力がないと自分のようになるからと、自虐的に警告をしてくれていたのだ。


「あのう、ラミィ。その、俺はここの事を何も知らないんだ。って危ない」


 晃司はラミィの胸を触る形で突き飛ばした。

 又もやホーンラビットだった。一瞬柔らかい!と場違いな事を感じた。

 ラミィは震えながら逃げようとするも2匹出たのだ。要は2匹に挟まれていて逃げられなかった。


 晃司は石を巻いた布を出し、自分に向かってきて退路を塞ぐ側から来た奴の突進を躱し、振り向きざまに石を巻いた布を叩き込んだ。

 見事に体を砕き、頭が地面に叩きつけられると、魔石と角を残して霧散した。すると頭の中にExp175と表示が現れ、えっ?となった。


 ラミィはひぃーと唸りながら剣を身構えていたがへっぷり腰だ。後ずさっていたが、石に蹴躓き尻餅をついた。

 偶々剣を構えていた所に飛び掛かられ、向こうから剣に刺さりに来た感じになった。

 死を覚悟して目を瞑ったのだが、目を瞑った瞬間、己のではない肉を切り裂く感触が手に伝わって来た。

 そして次の瞬間、目を開けるとホーンラビットが霧散しているところだった。


「やったぁ!私、初めて1人で魔物を倒しました!」 


「無事かい?突然だったけど凄いね。俺の方も何とかなったけど、魔物ってそもそもなんなんだい?」


「ああ!これで今日はおふとんで寝られます!って魔物の事を本気で聞いていますか?」


「俺のいたところにはこんなんはいなかったよ。だから初めて見たんだ。さっき言い掛けていた事だけど、1人でやっているって言ってたよね。その、良かったら一緒に冒険者をしないかい?」


「えっ?いいんですか?少なくとも私より強いですよね?ホーンラビットをたったの1撃で倒していますよね?」


「うん。君と一緒に冒険者をしようと思うからお願いしたいんだ。俺を助けて欲しいんだ。俺は右も左も分からないから1人だと直ぐにくたばると思うんだ」


「はい。こちらこそ宜しくです!」


 そうこうしていると高い壁が見えてきた。


「王都に着きましたよ!良かった。まだ混む前で。私は冒険者だからすんなり入れるけど、晃司さんは審査があるので、門を入ったところで待っていますね!」


 そうして別れて中に入る事になった。


 15分ほど並ぶと順番が来て、門のところにいる兵士から入り口にある長テーブルに在る直径20cm位の玉に手をかざすように言われ、手をかざすも変化がない。


「よし、通っても良いぞ」


「あのう、これは?」


「お前、よほどの田舎から来たんだな。犯罪者チェックのオーブだよ。犯罪者が触れると赤く色が変わるんだよ。これは魂に聴くから誤魔化す事が出来ないんだよ」


「なるほど。ご丁寧にどうもです」


 そして晃司は門の中に入り、町の様子を見た。


 所狭しと建物がぎっしりで、3階建ての建物が多い。

 映画やアニメとかで見るファンタジー世界の町だなぁと、そこにいる人々も様々だ。

 耳の尖った者、猫耳、うさ耳、犬耳、胸の高さ位の背丈のドワーフ?など様々で、漸く異世界にいるのだと確信が持てた。


 呆けていると、ラミィが腕を組んできた。この子の胸って結構大きいなと感じた。


「えっと、これからどうするの?」


「先ずは冒険者ギルドかな。換金しないと私もすっからかんだし、晃司も登録したり、素材を換金しないとだよね。それに服をなんとかしないとだと思うの」


「うん。ラミィ。任せるよ。なんか嬉しそうだね」


「うん。だって晃司が嘘をついていなくて、犯罪者じゃないって分かったんだもん」


 そうして先ずは冒険者ギルドに向かった。


 目的地はすぐに分かった。

 レンガ造りで周りより立派で、いかにも冒険者と言う感じの者達が出入りしているからだ。


 ドアを開けて中に入り、建物の中の様子を見ると、左手には壁に色々な紙が貼られているボードが設置されているのが分かる。

 そして広いロビーがあり、カウンターが見て取れた。


 カウンターには受付業務をする女性がいるのだが、皆綺麗な若い女性でついつい見惚れてしまった。


 しかし、ラミィが晃司をグイグイと引っ張り、1人の受け付け嬢のところに向かった。


 あの胸の大きい受付の子、超好みなんですけど!・・・・・・って、あれっ?違う方の所に行くのね・・・

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