Ⅱ 『国際政治と国際法』の説明

1 国際社会とは?


国際社会とは、主権国家を構成単位とする

国際的規模の社会をいうが、

現在では様々な国際組織もまた、

重要な役割を果たしている。

主権国家とは、独立した国家をいう。


主権国家間の関係を国際関係というが、

それは政治的・経済的・文化的な

諸要因によって動かされる。


国際関係を調整する過程やりとりを国際政治、

国際関係を規律する規範きまりを国際法というが、

国際社会が未統一の分権的な社会であり、

国内社会と違って統一的な権力を持たないために、

国際政治は実力を背景とした権力政治になりやすく、

国際法も国内法と異なる不完全性を

持つことになる。


要するに、国際社会には強制力がないため、

秩序が保たれにくい。


だが『社会あるところ法あり』といわれるように、

社会があればそこに秩序への要請が生まれ、

国際秩序を維持する手段として、

国際法が作られるようになる。


ただ一方で、大国の実力や勢力均衡が強制力となって、

秩序が作られることもあった。

しかし後述のように、個々の実力は

最終的な秩序維持手段とはなりえない。



2 国際法について


ここでいう国際法とは、

公的事項を対象とする国際公法のことで、

私的事項を対象とする国際司法とは異なる。


国際法には、

黙示の合意に基づく国際慣習と

明示の合意に基づく条約、

平時に適用される平時国際法と

戦時に適用される戦時国際法、

といった区別がある。


国際法は、国内法と異なる。

国際社会には統一的な立法・司法・行政府がないため、

国際法は当事国の合意に基づいてのみ定められ、

また当事国自身が適用・執行を行う。


しかしこれらを、国際機関により、

統一的に行おうという試みもなされている。


国際法は法でない、ともいわれる。

国際法を執行するための、

強制力がないからである。


だがその点でも国内法も、

実現が予定されてはいるが、

必ずしも強制力により実現されるとは限らない。


また国際法は合理的な根拠に基づき、

事実的に実現されることが必要十分である、

という点で、宗教や道徳と区別しうる。


そして繰り返しになるが、

国際機関に強制力を与えて

国際法を執行させようという試みが

行われてもいる。


国際法は国内法よりも未発達だが、

発展途上にある法であり、

究極的には世界法へと解消変化すべきもの

であるといわれる。

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