第17話・ライブラ インデックス杯 ラウンド1

 そして、エメリオの言う通り【ライオットブラザーズ大会・インデックス杯】の日が来た。3Ⅾスポーツ大会と同様に特設会場でやることになっており、実況席には社長のマリアと参歩とリーシャがおり、マリアが挨拶に入る。


「はいというわけで始まりました! ライブラ大会・インデックス杯! ルールは残機無しのデスマッチ! 今年の実況席は土手川夫婦に来てもらいました! おふたりの娘であるエメリオちゃんが今回出場していますが、何か一言ありますか?」


 マリアの問いに参歩は「まあ、15期生にも手練れが多いから練習の成果がどう出るかによるな」と答え、リーシャは「お義母様の下でとっておきを習いに行っていたからソレを見るのが楽しみです」と答える。


 一方、チャット欄では「今年も始まったな!」「参歩さん今年は参加しないんだ」「夫婦揃って実況席で我が子を見守ることにw」「エメリオちゃんプレッシャー半端なさそう」「てかおばあちゃんもライブラやってるとか土手川家ってゲーマー一家なのかな?」などのコメントが流れる。


 参加人数が16人もいるため、ABCDの4ブロックに分かれることになり、エメリオはCブロックの第1試合に出ることになった。


 AとBの代表が決まって遂にCブロックの第1試合が始まる。


 エメリオは参歩との勝負で使っていた野球少女の『ハイン』で、対戦相手は白のタートルネックのミリタリージャケットと黒のプリーツミニスカートとパンストを穿いた黒髪ショートヘアの猫の獣人のアリアの同期である炬虎炉 モエル、使用キャラは光線銃を持ったジェットパックを背負った宇宙飛行士のようなキャラの『グスタフ』で、見た目通り滞空の移動能力に特化しており、光線銃の遠距離攻撃をメインとしており、『ハイン』なら懐に入れば圧倒できそうな相手だ。


マリア「さあ、Cブロック第1試合が始まりました! 美少女高校生ライバーのエメリオちゃんVSインデックスのシューティングゲーマーズのエースであるモエルちゃん!」


ステージは空中に足場がないフラットな空中闘技場で、マリアの実況とともに、試合が始まり、先に仕掛けたのはモエルで光線銃によるレーザー攻撃を放ってくるがエメリオは後ろに飛んでそれをかわす。


マリア「おおっと! エメリオ選手、先制攻撃を見事にかわす! しかし、相手は空中戦特化のグスタフ! バットで殴るには届かない!」


 エメリオはジャンプして爆弾野球ボールをノックする攻撃を放つも、モエルの操作するグスタフは急降下して射線から外れ、ノックしたボールはグスタフの頭上を通り過ぎる。


マリア「ハインの遠距離攻撃ではグスタフとの撃ち合いでは厳しそうですね? どうですか? 参歩さん?」


参歩「そうですねえ‥‥‥グスタフのレーザーほどの弾速はないのでモエルちゃん自身がタイミングを外さない限りは当たらないかもしれませんね」


リーシャ「私の場合、グスタフ相手にするなら接近戦ならコタロウのスーパーアーマーがつくジャンプ切り上げで、遠距離戦ならビリーの上方扇射で対空するかのどちらかになるわ」


 実況席がそんな風に賑わう中、エメリオの動きが変わった。今度はジャンプせずに爆弾野球ボールをノックした。


 モーションを見たモエルは即座にジャンプしてジェットパックで滞空するも、カキーンという澄んだ音ではなく。コンッという小突いたような音をたててボールが斜め上にトスされた。


 エメリオの操作するハインはトスしたボールを追うようにジャンプすると、スマッシュ攻撃を警戒したモエルの操作するグスタフは高度を下げた。


モエルの読み通り、エメリオの操作するハインは野球バットを振り下ろすスマッシュ攻撃のモーションに入るが、振り下ろされたバットは爆弾野球ボールを捉え、カキーンという音とともにノックした時と同じ速度でグスタフへ向かって飛んでいき、タイミングが分からなくなったモエルは棒立ちになって爆弾野球ボールがグスタフに直撃して爆炎を巻き上げながら吹き飛ばした。


マリア「いあああ! クリーンヒット! まさかのフェイント攻撃!」


参歩「なるほど、ロブの使い方をおばあちゃんから教わったのか」


リーシャ「あれってタイミング難しいはずじゃ‥‥‥」


参歩「俺がよく使う『フェンリー』のジャスト回避と同じでコツさえ掴めば難しくはない。おまけに通常のノックと違ってロブから放つ爆弾野球ボールは、変幻自在にタイミングと射角を変えることができる!」


 そこからモエルは回避のタイミングが上手く掴めなくなった。なぜならロブからのどの角度で飛んでくるのか判らない爆弾野球ボールにヤマ勘で回避しようとすると動きが一瞬止まってしまうため、そのまま距離を詰められて野球バットでボコボコに殴られるのだ。


 仮に距離とっていてもヤマ勘で思考を巡らせた際に無意識下で発生する一瞬の硬直が隙となって距離を詰められてしまう。


 そして、グスタフの蓄積ダメージが80まで上がったその時、エメリオの操作するハインのロブ、フェイントだと踏んだモエルの操作するグスタフは地面に降り立った状態でレーザー攻撃を放つも、ハインはジャンプしてスマッシュ攻撃で爆弾野球ボールを斜め下に飛ばした。レーザー攻撃の反動で動けないグスタフに直撃し、エメリオはそのまま流れるように怯んでいるグスタフにカキーンとフルスイングを叩き込んで場外ホームランを決め、試合終了!


マリア「決まったー! 怯んだところへのフルスイング! 場外ホームランです! Cブロック第1試合の勝者はエメリオ選手―!」

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