第7話  屋敷の中でカイさん発見!

今はライブが終わり、夜月さんとも別れ、廊下を歩いているところです。

すると、曲がり角から誰かがひょこっと顔を出しました。

ぶつかります!!


「きゃあっ!」

「わっ!」


誰かとぶつかってしまいました!

ですが、床に倒れてはいません。

そのぶつかった誰かが、私を支えてくれていたらしいです。

私はその誰かさんの顔を見上げます。


「ありがとうございま……カイく、さん!?」


その人物はなんとカイくんだったのです!

驚きすぎてくんで呼んでしまうところでした。


「あれ、凛音さん?」


カイくんもこちらの正体に気がついたようです。

私はカイくんの言葉にこくりと頷きます。


「何してるんですか、こんなところで」

「いやあ、凛音さんのお母様が、ライブに疲れたからこの屋敷でご飯食べてけって言われてさ。で、ついでに屋敷を散歩してもいいと。屋敷って珍しいでしょ?だから見ようと思ったんだ」


なるほど。そういうことでしたか。

では、リイくんとセイくんもこの屋敷のどこかにいるかもですね。


「それはそうでしたか!ですが、そろそろ降ろしてもらってもよろしいでしょうか?」

「あ、ごめん」

「いえ」


ずっとカイくんに支えられた姿勢だったから、降ろしてもらいました。

何しろ、ずっとあの姿勢だと顔が近すぎて心臓がもたなそうだったので。

カイくんに緊張しすぎて冷静になろうとして冷たくなってしまっているかもしれません。

私はふと時計を見る。


「あ、そろそろご飯の時間ですよ、カイさん」

「そうなの?ちょっと迷っちゃったから、案内してくれない?凛音さんも一緒なんでしょ?」

「まあ、そうですが。しょうがないですね、ついてきてください」

「ふふ、ありがとうございます!」


私は食堂に向かって歩き出します。

カイくんは、ふふ、と笑いながらついてくるのでした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る