歌が聞こえる、あの場所で

一糸いとま

つくるということ

なにかをつくるひとたちは、すでにつくられたものを目の前にした時の、あのむずむずした、嫉妬とも焦りとも哀しみとも羨望とも喜びともいえない気持ちたちを、どうしているのだろう。

こうなりたいような、ならなければならないような、なりたくてもなれないような、なってはいけないような。

もはや自分のオリジナリティなんてくそくらえだ、なんて気持ちになったりもして、

悲壮感たっぷりに、絶妙であいまいな被害者意識に浸ってみたりもして。

ここに私の作るべきものがある気がする。

でもそれはもうなくて、もはやあるとも言えないようなものだ。

作るべきで、でももうつくることはできず、作られてしまったが故にそれは既製品ですらある。


こうなりたい、の気持ちにこうなれない、の気持ちが覆い被さるから星は見えない。

10000年に一度の彗星も、この日ばかりはきっと隠れて見えないだろう。


だから僕は、晴れを待つ間ずっと、朧月の影から足元を照らして、何度も何度も歩きだしている。

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