歌が聞こえる、あの場所で
一糸いとま
つくるということ
なにかをつくるひとたちは、すでにつくられたものを目の前にした時の、あのむずむずした、嫉妬とも焦りとも哀しみとも羨望とも喜びともいえない気持ちたちを、どうしているのだろう。
こうなりたいような、ならなければならないような、なりたくてもなれないような、なってはいけないような。
もはや自分のオリジナリティなんてくそくらえだ、なんて気持ちになったりもして、
悲壮感たっぷりに、絶妙であいまいな被害者意識に浸ってみたりもして。
ここに私の作るべきものがある気がする。
でもそれはもうなくて、もはやあるとも言えないようなものだ。
作るべきで、でももうつくることはできず、作られてしまったが故にそれは既製品ですらある。
こうなりたい、の気持ちにこうなれない、の気持ちが覆い被さるから星は見えない。
10000年に一度の彗星も、この日ばかりはきっと隠れて見えないだろう。
だから僕は、晴れを待つ間ずっと、朧月の影から足元を照らして、何度も何度も歩きだしている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます