第43話 1人の夜




「りゅうちゃん、ほんとうに1人で大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ」


まゆとの生活は本当にあっという間で仕事が始まってから2週間目の金曜日の朝、まゆから弁当を受け取り朝ごはんを食べてまゆを見送る時めちゃくちゃ不安そうな表情でまゆに聞かれた。


「なるべく早く帰るようにするから。冷蔵庫に夜ご飯入れておいたから温めて食べてね。え、えっと…あとは…ま、まゆ、なるべく早く帰ってくるから…その…起きててくれたら嬉しいな…」


今日、まゆは職場の歓迎会があるらしくて夜遅くなるみたいだった。一応、お酒呑む可能性があるので今日だけは電車で行くらしい。


「わかった。起きてるよ。せっかくの機会なんだから楽しんできてね。もし、駅着くの遅くなるんだったら危ないから呼んでくれたらお迎え行くからね」


まゆの職場は保育園で今日参加するメンバーは女性しかいないみたいなのですごく安心できる。とはいえ夜道は危険だからまゆみたいなめちゃくちゃかわいい女の子が1人で歩くのは心配だ。


「ありがと。じゃあ、遅くなったらお迎えしてもらおうかなぁ。あ、やばい…電車間に合わないかも…行ってきます」


腕時計を見てまゆは慌ててアパートから出て行く。僕はスーツだから走るの大変なので余裕持ってアパートを出ているがまゆは保育士さんで私服通勤なので走っても苦じゃないのが羨ましい…


まゆがアパートから出て行った後はいつものように朝ごはんの片付けをして今日は掃除機をかけてから出かけた。少しでもまゆの負担を減らさないとね……


そして僕も仕事に向かい、少し残業していつもより少し遅い時間に帰宅する。駐車場にまゆの車はあるが、部屋の中にまゆはいない。いつもエプロン姿に優しい笑みを浮かべて僕を出迎えてくれるまゆがいないのはすごく寂しい。いつもなら台所の前を通ると夜ご飯のいい匂いがするのだが、今日はそれがなかった。


リビングに入ってから寝室に向かいスーツを脱いで部屋着に着替える。そして冷蔵庫からまゆが作ってくれていた夜ご飯のハンバーグを取り出してレンジで温める。


「いただきます」


1人でご飯を食べるのは久しぶりですごく寂しい。いつもまゆと笑いながらご飯を食べているのだが、1人だとすごく静かだった。


夜ご飯を食べてお風呂に入って夜ご飯の片付けをして洗濯をしていると9時を過ぎていた。まゆの帰りを待ち遠しく思っているとまゆから電話がかかってきた。


「えへへ〜りゅうちゃん…お疲れ様〜」


よ、酔ってる………


電話に出ると明らかに酔いがまわったまゆの声が聞こえてきた。









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