第40話 寂しい。




「りゅうちゃん…えっと…もし…風邪だったら…うつしちゃうとダメだから…今日は別々で寝よう……」

「うん。わかった」


まゆに夜ご飯もお粥を食べさせて僕も冷蔵庫にあったもので適当に夜ご飯を済ませてまだ7時過ぎだがお風呂から出てきたまゆに別々で寝ようと言われ、寂しかったが同意する。


まゆは寝室で寝て、僕は普段使っていない僕の実家から持ってきた昔僕が使っていた布団でリビングで寝ることにした。


まゆが寝室に入った後、夜ご飯の片付けをして少しスマホをいじってお風呂に入り、ちょっと早いけど10時過ぎには寝ることにした。


歯を磨いてまゆを起こさないように小さな声で寝室の扉の前でおやすみ。と言って布団に入る。


すごく久しぶりに1人で寝る。いつも僕を抱き枕のように抱きしめてくるまゆの温もりがないせいかすごく寒い気がした。


「…………」


気のせいだろうか。何か音が聞こえる気がした。


「りゅうちゃん…寂しいよぅ……りゅうちゃん……りゅうちゃん……」


気のせいじゃない。耳を澄ましてみると、扉の向こうでまゆが泣いているみたいだった。居ても立っても居られなくなり、僕はそっと寝室の扉を開けて寝室に入る。


「りゅうちゃん…りゅうちゃん……」


僕が入るとまゆが涙を浮かべて僕の方にやってきた。僕に抱きついてきたまゆを優しく抱きしめ返すとまゆは少しずつ落ち着いて泣き止んでいった。


「まゆ、今日も一緒に寝る?」

「………ダメだよ。りゅうちゃんに何かあったらいけないし…………」

「じゃあ、隣に布団敷いて寝るくらいは許してよ。僕もまゆがいないと寂しいんだ」

「わかった……」


気休め程度の空気清浄機を稼働させて僕はまゆの布団の隣に布団を敷く。たぶん、疲れで熱が出ているだけだから移ったりする心配はないだろうが、念には念をだ。


「りゅうちゃん、手だけ繋いで……」

「わかった」


まゆと手を繋ぐ。それから少しするとまゆはゆっくり眠った。やっぱり、疲れていたんだなぁ。まゆにばかり負担はかけていられない。僕ももっと手伝えることを増やそう。


「いつもありがとう。大好きだよ」


小さな声でまゆに感謝を伝えてから僕も眠った。まゆに助けられてばかりだから。僕もできることを増やそうと改めて思った。


次の日の早朝、目を覚ますと僕はまゆに抱きしめられていてまゆを抱きしめていた。結局、いつの間にかいつものような寝方になっていたみたいだった。





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