新月の狼人間

痛いだけの夜に静かに悲鳴を上げる

躰中が燃えて消えそうだ

壁に跪きこうべを垂れる

空元気で良いからと

遠吠えをしてみる


何も見たくない聞きたくない

苦しいこともキライだから

願うは安寧ただひとつ


どこまで行ってもついてくる

パンドラの箱から溢れた暗いモノ

出遅れたハズのキボウは一体どこにいるの


毛布にくるまり自分の手を握る

まやかしでもなんでも良いから

熱が欲しくて堪らなくて

「自給自足」と笑ってみる


きっとこの感情は一時いっときだろう

明日になれば少しはマシになる

解ってる。でもやっぱり

痛くて足らないのは今夜だから


新月の夜を駆ける狼人間

バケモノと呼ばれ誰にも受け入れて貰えず

それでも意地汚く生きるため

今夜もロープを捨てる


路地裏で泣いてる昔の自分がいる

その子を踏み台にしてまでも

死ぬ選択肢は無いから

理由なんてハナから存在しない

いつの間にか忘れただけ


痛いだけの夜に眠れず肩を下げる

感情が燃えて消えそうだ

左足を前に武器は左に置く

嘘泣きで良いからと

遠吠えをしてみる


何も見てない聞いてない

辛いのはみんなキライでしょ?

願うは平穏ただひとつ


何時までもふりほどけない

パンドラの箱から溢れた暗いモノ

出遅れたハズのキボウは一体どこにいるの


毛布に抱き付き愛をまが

幻想でもなんでも良いから

愛が欲しくて堪らなくて

「脚本家だな」と笑ってみる


きっとこのシーンは一瞬だろう

次のコマには少しマシになる

解ってる。でもやっぱり

孤独で足らないのは今夜だから


新月の夜を駆ける狼人間

バケモノと呼ばれ誰とも距離をとり

それでも意地汚く生きるため

今夜も毒薬を捨てる


表通りで倒れる昔の自分がいる

その子を踏み台にしてまでも

生きる選択肢しか無いから

理由なんてハナから存在しない

ただ忘れただけ



もうすぐ夜が明ける

変身も解けていく

現実に呆けている

厭世で酔ってみる

今日すぐ喪が明ける



もうすぐ夜が明ける



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