一杯のうどんが、ゆっくりと解していく。

糸が縺れた時、時間がかかるからと強引に引っ張っては行けない。
けれど、それを選ぶことが正しいと勘違いし、引きちぎってしまう。
自分の好きな物も、将来も、自分の体型も、現在すら否定された娘。否定したのは、娘を愛していたが故に娘を見ていなかった父親。それを止めなかった母親。

これはそんな糸を結び直すお話。
人の弱さを受けいれ、優しくあたためる焼き鍋うどんが、固く閉じた心を解すのでしょう。
そうして今度は、1本の糸として別の誰かと糸を結ぶのです。

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