5点目  「『推し』のこと」        【3/24(木)】

 前回のお話は真面目な?お話でしたので、今回は「腐」成分満載でお送りすることにしましょう。まぁタイトルをご覧になった方は、もうお察しのことと思いますが…。

 ズバリ、今回のお話は「推し」についてです!

 そう、我々腐男子腐女子のコンビニ店員にも、密かな推しがいるのです!

 我々は日夜お仕事をしながら、推しのご来店を心待ちにしているのです。ひとたび推しがご来店されれば、我々の心の中はもうバラ色。決してこちらから不必要にお言葉をかけることはできないけれど、奇跡的にお言葉を交わすことができた日なんて、もう狂喜乱舞のお祭り騒ぎ。

 直接お言葉をかけれるチャンスは、レジでの一分にも満たないわずかな時間。店員としての立場をわきまえつつ、かけるお言葉は必要最小限に。せいぜいかけれるお言葉といえば、店員として「レジ袋いりますか?」といった機械的なもの。それでも、お会計が終わった後に「ありがとうございます」何て爽やかな笑顔で言われでもしたら……、仕事中じゃなければたぶんその場でぶっ倒れますね。あぁ、尊い……。

 はい、初っ端から腐男子全開で失礼致しました(汗)

 もうお分かりですよね?

 そう、我々の推しとはご来店されるお客様のことなのです。

 前のお話でも書きました通り、店員から見まして「良いお客様」とそうでないお客様とがいらっしゃいます。そこで、考えてみて頂きたいのです。

 見目麗しいイケメンが前者のお客様だったら……。

 完璧すぎじゃないですか?

 ね? そうですよね?(圧)

 そういうお客様を、我々は密かに推しているのです。

 ここにはこのように書いておりますが、もちろんこういうお客様に関わるお話はお店の外では口外しません。いや、お店の中でも話すことはありません。まぁこれは、単に私が腐バレを警戒してるっていう理由もありますが……。

 あ、サキちゃんは別ですよ。

 というより、サキちゃんとは長いこと組んでいるので、もはや言葉を介さずとも半分ぐらいのことはお互い理解できるのです。私も最初自分の推しのことは隠していたのですが、ものの見事にサキちゃんに見破られてしまいました。さすが私の腐属性を見抜いたサキちゃんの観察眼、恐るべし(笑)

 サキちゃんの曰く、タカハシはそういう時の顔や行動がわかりやすいんだそうです。「そういう時は声のトーンも違うし、いつもよりおしゃべりになる」んだとか。 

 いや、自分で自覚してないのが何よりも恐怖。でも、何か妙に納得できる自分が怖い……。

 あ、一つだけ言い訳させて下さい。

 ここでの「おしゃべりになる」とは、関係ないお話をお客様にしているのではなく、「レジ袋お付けしますか?」とかそういった機械的なセリフに限ったお話です。前に書きましたように、これらの言葉はお客様の様子を窺いつつ一から十まではお聞きしないこともあるのですが、タカハシは推しの時は割と全部確認してるんですって。

 と、他人事のように書いてみたものの、これ私のことなんですよね。以後気をつけます……。

 何かこのままだと悔しいので、サキちゃんが推しを拝んだらどうなるのかも書いておきましょう。私のこと書いたんだし、お互い様ですよね(笑)

 サキちゃんが推しのレジをすると、基本おしゃべりになります。

 そう、あんだけ人のこと言っておきながら、彼女もおしゃべりしてるんです。

 そもそもサキちゃん、人の懐に入るのが上手なんですよね。悔しいけど、天性の人たらしってやつですかね。

 気がつくと常連のお客様とレジで世間話してたりするから、本当に恐ろしいです。いつの間にか、常連のお客様の方からサキちゃんにお声がけ頂けるまでになってたんですから、いやー恐ろしい才能です。

 そんな調子なので、彼女は基本推しのお客様ともフツーにお話してたりします。まぁもちろん、他のお客様とかをお待たせしてるような時は別ですがね。 

 と、まぁこんな感じで、我々にはそれぞれ推しが何人かおりまして、内数人は推し被りしております。もうサキちゃんとは組んで長いので、お互いの推しのことは当然熟知しております。我々の推しの細かいお話を始めるとまた長くなりそうなので、今回はこれぐらいにしておきましょう。

 推しは推せるときに推しとけ。

 どこかで聞いた言葉ですが、コンビニの店員やってるとこれってつくづく至言だなぁと感じます。

 一介のコンビニの店員とお客様という関係上、いつもお目にかかれる確証がないですからね。

 そんな変えようのない関係性に悩みつつ、いつか推しカプに出会えたらいいなぁ、と思う今日この頃です。

 それでは、今回のお話はこのへんで。

 またのご来店をお待ちしております。

 

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