2 考古学系歴史学専攻大学教授夫人エレノアが語る②
で、引き合わされたのは妹の誕生日パーティの時。
その時に例の学生と一緒に今の夫がやってきたのね、
いやもうその時の格好ときたら!
髪は普段手入れしていないからがさがさなものを無理にまとめているからぴんぴん跳ねてね。
正装も普段着ないとサイズが合わなくなっていたみたいで、ぶかぶかで。
まあそのせいか、学生の方がよっぽど見栄え良かったというか、彼確実に引き立て役だった訳よ。
私は私で、相変わらず地味な格好でね。
だからまあ、引き合わされてもその時点では「あ、はい」「こんにちは」程度だった訳ね。
ただそれが、皆が踊り出してからなんだけど。
「踊らないんですか」
と聞いてくるから「踊れないんです」って答えた訳。
で、そこから「まああなたも」って感じよ。
正直パーティもダンスも苦手だったし、うるさい騒ぎも嫌いだったから、ベランダの椅子に二人して避難したのね。
で、好きな本の話とか。全然会話のキャッチボールじゃないのよ。
どっちかというと、ボールのぶつけあい。
だけどともかく聞いてはくれるのね。
別に広げる訳ではないけど。
私はそれが楽しかったのよ。
だって普通のひとって無理に広げても、あーこのひと無理しているな、って判るじゃない。
このひとは本当に「そうなんですねえ」だけだったし。
私も向こうの話す考古学とかの話はへーほーふーんだったし。
でもいいのよ。
だって今までそういう話そのものを「してはいけません」だったんですもの。
で、その様子をまあ引き合わせた人々に見られちゃった訳よ。
そうするともう後はとんとんとん拍子。
あっっっという間に結婚まで至っちゃった訳。
で、私も彼もお互いの趣味を満喫する生活を今でもしていて。
いやもう、うちの場合、ナニーやメイドが使える家で本当に良かったと思うわ。子供は産んだけど、絶対世話なんてできないもの。
可愛いけど、私が世話したら絶対大変なことになるっていうか。
だから本当に裕福な家庭に生まれて良かったなあ、としみじみ思うのね。
ところで。
しばらくして、彼の助手学生が私の妹と結婚したのよ。
妹はね、私が先に結婚したのが結構気に入らなかったみたいで、もっと凄いひとを! ってのでなかなか決まらなかったのね。
姉は私の一年前に結婚していたわ。
向こうは普通に幸せにやっているわ。今でも。
だけど妹は今まで自分が絶対私より早く結婚するものだと思っていたらしいのね。
実際取り巻きも多くて引く手数多だったし。
ところが、私が結婚した途端、取り巻きの男爵子爵の次男三男では何か物足りなくなったみたいなの。
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