重力を操る少女とかっていう非現実的なことが起きておる

ティーノ

第1話

なんだ、この感じは。

なぜだか、体がフワフワする感じがする。


「ははっ!大丈夫ー?」


ケラケラと笑いながら俺に近づいてくる一人の少女。


「ねー、今どんな感じ?」


「どんな感じって……なんか、フワフワしてる感じはするけど」


見ると、俺はなぜだか地面に足がついていない。

なのにその少女は地面に足がついている。


「ふーん、それだけ?」

「……他になんかあるか?」

「つまんない。せっかくこうして浮かばしてあげたのに」


浮かばしてあげた?少女の言葉に首をひねる。


「私、重力を操る力があるの」


重力を操る力……?そんなのがなんになるってんだ。


「重力を操れるからって、別に怖くもなんともない」

「まあ、確かにそうだね。でも、いつかはこの力も役に立つと思うけど」


そんな日はほんとに来るのだろうか。


「さてと、今日はこのくらいでおしまいだね。じゃあ、またね」


少女はそう言うと俺の目の前から姿を消した。

姿が消えた瞬間、ドサッと自分の体が地面についた音がした。


「うーん……?」


目を開けると、そこは自分の部屋だった。


「……夢だったか」


重力を操るとか、そんな非現実的なことが起きるわけがない。

起きるとしたら、それは夢の中、もしくは小説の中だけだろう。


「おっと、こうしちゃいられない」


壁掛け時計を見ると、時刻は七時を過ぎたあたりだった。

早く準備しなければ学校に遅れてしまう。

俺はそそくさと学校に行く準備をした。







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