第6話

「これは、メリーゴーランドね」

「はい、現在動いておりませんが、そうでございます」

「そう、節電に徹底してるのね」

「まあ、そんなところでございます」

五歳の時に連れてってもらったところのメリーゴーランドの馬は

生き生きとして見えるのにここの馬は苦しそうに見える。

同じ表情なのに不思議だ。

「コーヒーカップとか乗りたいわ」

「それなら、お隣にありますよ」

横を見ると、そこには可愛らしい目をつぶった熊がいた。

こちらもメリーゴーランドと同じように眠っているように

静けさを放っていた。

もう、モーブと話す気力がなくなり、黙って歩いた。

モーブも黙って私のあとをついて行った。

「私以外にも人がいる」

「もちろんですよ、ここは遊園地であり、樹海などではないのですから」

「でも、お客さんは私だけみたいね」

「みなさん、観覧車に乗っていますよ」

「なんでそんなに固まっているの、遠足でもしに来たの?」

「そうではないですよ」

「そうなのね」

目の前はステージがある上にショーを行っている。

だが、このショーは楽しめそうにない。

ダンサーの人が苦しそうに踊っているのだ。

まるで、呪いに掛けられているように。

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