第3話

「るみか、やっぱり落ち込んでる」

「大丈夫よ、奈子」

奈子は、インターネットで知り合った友達、

いわば、ネット友達だ。

「いや、無理しなくていいんだよ。

ここには笑顔と勉強を強制する親も先生もいない、

いるのはショック受けてるネ友だよ」

「奈子こそ落ち込んでるじゃん」

「そりゃ、ムル君だけはこんなことしないと思ってたから

ショックぐらい受けるよ」

「だよね、視聴者でショック受けてない人いないよね」

奈子の事を含めてムル君を好きになってよかったと思う。

「そういえば、昨日、美香ちゃんがファンやめちゃったらしいよ」

「えっ、美香だけは一生ファンだと思ってたのに」

美香は、ムル君のグッズに一万円を軽々とかけていた人だ。

「美香ってまだ中二だよね」

「そうだよ、私たちの二歳上の中二だよ」

「美香ってただのお金持ちだったんだね」

奈子が美香のことで二重でショックを受けているようだ。

美香がファンをやめた、ということは私が一番目をそらしていた可能性がゼロではなくなるということだ。

「奈子はファンやめないよね」

「もちろん、なんなら今回の事でムル君への愛を再確認できたよ」

「よかった、、」

奈子はやはりファンの鏡だ。

アンチがいても無視し、生配信もルールを守る、

何があってもずっとファン。

「じゃあ、どっかカフェいこう」

「うん」

その時、突然視界がゆがんだ。

「みるか?みるか?どうしたの?」

奈子に返事をする元気もなく、次第に奈子の声が遠のいていった。

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