第6話 門を守る神(5)
「これは門の神としての力から感じることなのですが。あの二人のもとに、もうじき闇を持った人が現れます。それはまだ小さき闇なのですが、それが大きな闇へと繋がっています。そしてそれは、二柱をも巻き込むこととなります」
「ほう。その小さき闇が大きな闇へと広がるということか、どうして儂らが巻き込まれるというのじゃ」
みなもが薄く青みがかった瞳で東門仙を見つめた。
「はい。まだ、よくは見えませぬが、その闇に深く関わっているのが二柱も知っているものであるからでは。正直なところ、まだそこまでしか分かりませぬ。ただ、このようなことを今まで感じることはありませんでした。私もはたしてどう迎え撃てばよいのか分からぬままです。もう少し、時が進めば見えてくるものもはっきりするかと」
東門仙は、申し訳ないという表情をして二柱に話した。
「いや。儂らはその小さき闇が来ることさえ気づかずにおった。お主のその話、貴重なものと思う。どうかまた何か分かれば教えてもらえぬか。儂らもどう動けるのか考えておかねばならぬのでな。頼む」
みなもはそう言うと、東門仙に礼をした。東門仙もそれに応えた。
「東門仙の話、お前はどう思う?」
東門仙の祠を後にして、火の神はみなもの横に付きながら聞いた。
「儂も興味をひかれて話を聞いた。東門仙は嘘はついておらぬし、隠し事もしてはない。儂らが気づかぬところで何かが動いておるのじゃろう。その小さき闇というものを見てみるしかあるまい」
みなもは、火の神を見上げると、少し嬉しげに笑っていた。
「何で嬉しそうな顔をしているんだ?」
火の神は不思議がってみなもを見た。
「儂もなぜか分からんがな。ただ、もう動き始めてしもうたものを未然に防ぐなどということは出来まい。なら、大きな闇というものも見たくなってな。それにじゃ、儂らが知っているものってなんじゃろうな」
みなもはそう言いながら、火の神の不安げな表情を和らげるように透き通る青い瞳で微笑みをかけた。火の神はその笑顔を見て、静かな赤い瞳で笑みを返した。
「お前がこういう時に笑うと、本当に大きな事が起こるからな。雪神のときも、
「そんなこともあったなあ。あの時はお主にはよく助けられたでな、感謝しておる」
そう言うとみなもは、瞳をさらに青くして火の神を見上げた。その表情からは上辺だけの言葉ではなく、感謝と信頼の気持ちが溢れているのがよく伝わってきた。みなもは、何も変わらずにみなもなのではあるが、
「礼には及ばぬ。俺もお前に助けられているからな。いや、俺の方が、よく助けられているかもしれないな」
火の神は、大切なものを守るかのようにみなもを見つめた。
(お前と一緒であれば、大きな闇というものを迎え撃つこともできるであろうな)
火の神はそう思いながら、みなもを包むようにオーラを放ち後ろを歩いた。みなもは、風になびく髪を押さえながら火の神の方に振り向くと火の神のオーラに自分のオーラを合わせて虹を作って見せた。その仕草と笑顔に火の神は、初めてみなもを見たときの思いが蘇っていた。
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