第3戦記 勃発
新宇宙歴2088年…。
通称「
この事故のアーマード・ギアに関する情報は「
事故の件がなりを潜めて1年ほど経った、新宇宙歴2089年。
ついに、誰もが恐れていた最悪の事態が訪れた。
「
第三次宇宙大戦が勃発した。
【宇宙空間】
星が瞬く静寂な宇宙の海に激しく波打つように、一人の女性の声が響き渡る。
その女性の声には、美麗さと聡明さを兼ね備えつつも威厳があり、耳を傾ける者を魅了してやまないカリスマ性があった。
※ヘレル・サタン・ルシファー=以下、ヘレルと略。
ヘレル「我は…、偉大なる超銀河団連合国家ギャラクシア・ヴァース帝国を治める超帝、ヘレル・サタン・ルシファー…。
聞け…、ラニアケア超銀河団の者どもよ‼︎ 我々、ギャラクシア・ヴァース帝国は、ラニアケア超銀河団へと宣戦を布告する‼︎
ラニアケア超銀河団 おとめ座超銀河団 おとめ座銀河団 天の川銀河 オリオン腕 太陽系第三惑星…。
そこに位置する地球と呼ばれる惑星は青い海と豊かな緑に包まれたとても美しい星だ。その美しさは、この宇宙に存在するいかなる宝石の輝きをも凌駕するであろう。
地球はまさに宇宙の遺産とも呼ぶべき星だ…。
だが、そこに住む地球人たちはこの宇宙で最も野蛮で危険な宇宙の破壊者である‼︎
現に地球人たちは、互いに互いを滅ぼし合う醜い戦争を幾度となく地球で繰り返し、地球の自然を破壊し、挙げ句の果てには
それらは全て、地球人たちの果てしなき欲望という愚かな感情によって引き起こされたものだ‼︎
それから長い年月をかけて地球は再星し、以前の姿を取り戻したが、相変わらず地球人たちは己が欲望の為に互いに互いを滅ぼし合う愚行を続け、再び地球を死の星へと変えようとせん過ちを繰り返している。
その蛮行は地球圏内だけに止まらず、文明や科学の進歩と共に地球の外へと進出し、太陽系、天の川銀河、ラニアケア超銀河団とその領域を広げてきた。
そしていずれは、我々のギャラクシア・ヴァース帝国、ひいては全宇宙にまでその領域は広がることであろう‼︎
地球人たちの存在は非常に危険だ。それは例えるなら、際限なく欲望と悪意を吸収し肥大化を続ける、小さな動物の皮を被った凶暴で巨大な魔獣のようなものだ‼︎
そんな者たちをこれ以上見過ごす訳にはいかない‼︎
可能であれば共に宇宙の和平の道を歩みたいとは思っていたが、ラニアケア超銀河団の暦にして新宇宙歴2055年から10年に渡って行われた、我が帝国のラニアケア超銀河団方面偵察艦隊との戦争…、あの戦争で我らは地球人たちの凶暴さと残虐性を目の当りにした‼︎
強力で残忍な兵器に次ぐ兵器の応酬、宇宙環境の汚染のあとには、魔光牙と呼ばれる全宇宙の生命体にとっての脅威まで呼び起こしてしまった‼︎ これにより、地球人たちとの和平交渉は絶望的なものであると判断した‼︎
よってここに、我が超銀河団連合国家ギャラクシア・ヴァース帝国の、ラニアケア超銀河団への全面戦争を宣言する‼︎」
こうして、ラニアケア超銀河団と超銀河団連合国家ギャラクシア・ヴァース帝国の全面戦争の火蓋が切って落とされた。
宣戦布告を終えると、ヘレルは「
ヘレル「よいか、我が超銀河団連合国家ギャラクシア・ヴァース帝国の兵士諸君‼︎これは聖戦だ‼︎ 宇宙の聖域を侵さんとする邪悪の化身たちとの戦いだ‼︎
必ずや邪悪の化身たちから宇宙の聖域を守り抜き、ギャラクシア・ヴァース帝国の栄光ある未来を築くのだ‼︎」
※ギャラクシア・ヴァース帝国軍兵=以下、G・V軍兵と略。
G・V軍兵たち「セント・ギャラクシア‼︎ セント・ギャラクシア‼︎ セント・ギャラクシア‼︎ セント・ギャラクシア‼︎ セント・ギャラクシア‼︎……………」
ギャラクシア・ヴァース帝国軍の兵士たちの歓声が宇宙に鳴り響かんとするような勢いで、超帝の間を埋め尽くした。
【月面要塞サムター】
ギャラクシア・ヴァース帝国の宣戦布告を受けた宇宙連邦政府では、軍の上層部や最高評議会の議員たちが緊急で議会を開いていた。
その一方で、第三次世界大戦後に月へと逃げ延びた地球人類たちが築いた月面上のコロニーを大きく発展させた大要塞、宇宙連邦政府軍の拠点である「
2mはゆうに越える大柄な中年男性の重厚な威厳のある声が、演説会場に響き渡った。
※アーサー・ダグラス=以下、アーサーと略。
アーサー「宇宙連邦政府の兵士諸君、よく集まってくれた。私は、諸君らのような勇敢な兵士たちに恵まれてとても嬉しく思う。まずはそのことに礼を述べよう、ありがとう‼︎」
「パチパチパチパチパチパチパチパチパチ………」
兵士たちは一斉に拍手をした。拍手が止むと、アーサーは再び話し始めた。
アーサー「私が今から諸君らに話すのは他でもない、先の超銀河団連合国家ギャラクシア・ヴァース帝国の我々地球人類およびラニアケア超銀河団への宣戦布告についてだ。
ギャラクシア・ヴァース帝国の超帝、ヘレル・サタン・ルシファーは言った…。我々地球人類は宇宙の破壊者であると…‼︎ それは否…、断じて否である‼︎
かつて「セントラル・アース
地球こそが全宇宙の始まりの地…地球は宇宙、ひいてはマルチヴァースの中心であると‼︎
そして地球は全ての生命の源であり、この広い宇宙に住める全ての生命は地球より出でたる地球の子供たちなのだと‼︎
それを忘れて何故、我ら地球人類を宇宙の破壊者と批判できようか‼︎」
※宇宙連邦政府軍兵=以下、政府軍兵と略。
政府軍兵A「そうだ、そうだ‼︎」
政府軍兵B「地球人を攻撃するというのなら、奴らの方こそ仲間同士で殺し合う野蛮な種族じゃないか‼︎」
アーサー「諸君ら…、静粛に…‼︎」
兵士たちの歓声と怒号が止み、再び静まり返った。
アーサー「だが、我ら地球人類も反省せねばならないことがある。それは「
カールス・フリード三世は、セントラル・アース理論を説いてゆくうちに過激な地球至上主義・異星人排他主義へと走った。
その結果引き起こされたのが、あの忌まわしき「
宇宙史上初の惑星間・銀河を越えての記念すべき、第一回「
テロリストによる爆破テロがでフィラデルフィア・アンドレアが暗殺、アンドロメダ星に待機していた異星人たちの艦隊もテロ攻撃を受け、30万人以上もの被害者を出す大規模なテロとなり、宇宙の平和を願う祭典は血塗られた悲劇で幕を閉じてしまった‼︎
その実行犯は、過激派テロ組織「スレイヴァ
アンドロメダ星側はすぐさま報復態勢を整え、地球側へ宣戦布告。双方、援軍を呼び大戦力を持ち出しての宇宙史上初の宇宙規模の全面戦争となった‼︎
この戦争で地球側は勝利し、カールス・フリード三世はのちの宇宙連邦政府の前身である「
軍の地位でも、政権争いでもなければ、信仰の違いでもない‼︎ 地球より生まれし子供たちの一人であることを忘れ、己が地球の支配者、引いては宇宙の支配者となろうとしたが故に自ら自分を滅したのだ‼︎
宇宙を守る正義の使者を気取る超帝ヘレル・サタン・ルシファーにも、旧世界を滅ぼした第三次世界大戦の悲劇にも同じことが言えよう‼︎
資本圏と共産圏の国々が互いに富と地球の覇権をかけて争い、挙げ句の果てには地球を破壊し、共倒れとなったのだ‼︎ そのような過ちを繰り返してはならない‼︎」
兵士たちは、アーサーの強い口調に圧倒された。
アーサー「だが、諸君らは違う…。諸君らは我らが地球…、父なる「ビッグ・アース」より生まれし、ビッグ・アースの子供たちなのだ…‼︎
そして我々やこの宇宙に住むものたちは皆、ビッグ・アースより生まれし兄弟なのだ‼︎
その我らに銃を向けることは、兄弟同士で殺し合い、宇宙そのものである父なるビッグ・アースへの反逆であると、我ら兄弟が手を取り合って教えてゆかねばならない‼︎
兄弟よ…、ビッグ・アースの子供たちよ‼︎ 今こそ立ち上がるのだ‼︎ 我らが地球を愛する真の地球の民であることを知らしめるのだ‼︎」
政府軍兵たち「ジーク・アース‼︎ ジーク・アース‼︎ ジーク・アース‼︎ ジーク・アース‼︎ ジーク・アース‼︎……………。」
盛大な拍手と共に、兵士たちの熱い叫び声が、月面要塞サムターの外へ漏れるような勢いで演説会場を埋め尽くした。
ついに始まった第三次宇宙大戦。
史上類を見ない宇宙全域を巻き込んだ大戦争を、人類は勝ち抜くことができるのか?
【次回予告】
ナレーション:
杏花よ。名前くらいは覚えておきなさい‼︎
ついに第三次宇宙大戦が始まったわね。私たちの地球もこれからどうなるか分からないわ。
それにしても、いつの時代でもどこの世界でも、戦争をビジネスに利用する奴らっているものよね。
私がまとめとぶっ飛ばしてやるわ‼︎
次回、宇宙創戦記XTENTION‼︎
【第4戦記 影の住人】
って話らしいわ。べ…、別に楽しみになんかしてないから…‼︎
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