第33話 骨川 糞夫の陰謀

俺は骨川ほねかわ 糞夫くそお、骨川財閥の御曹司だ、顔も某アイドル事務所のスカウトが来たほどイケメンで、父は財界にも顔が効く大物で、母も有名な弁護士をしている、そのため俺がなんかしら不祥事を起こしても大体は父の権力と母の弁護でもみ消してきた。


そんな俺が一人の女に恋をした。


子供の頃から俺に告白してくる女は山ほどいた、そりゃイケメンで、金もあり、そこそこ喧嘩も強い俺だ、女に不自由した事はなかった。


だが俺から本気で好きだと思った女はいない。


そんな俺が小学生一年生の頃、初めて惚れて告白してしまった女がいた、それが白間 美希だった。


白間しろま 美希みきは綺麗なサラサラの茶髪をポニーテルに束ね、綺麗な大きな目をした明るい女だ。


俺は登校した朝に教室に入るなり美希の机の前に行くと。


「おはよう美希、今日はいい報告があるんだぜ! 美希、お前を今日から俺の女にしてやるよ」

と。


「えっ!? あぅ、お、おはよう骨川くん、ごめん、骨川くんが何言ってるかよく分からなかった……も、もう一度言ってもらっても良い?」

美希は告白を照れたのか、もう一度告白を聞きたいと言ってやがる。


「だから俺と仲良くしようぜ」

俺は特別にもう一度別のパターンで告白する、他の女が二度も聞いてきたら殴ってるところだ。


「えっ? あぁ……え〜と、別に今でもクラスのみんなとは仲良くしてるけど……うん、よろしくね」

美希は恥ずかしかったのか、慌てながら俺に『よろしくね』と返事を返してくれた。


それから俺は。

「遊びに行こうぜ美希?」

「おい美希帰ろうぜ?」

と何度も美希を誘ったりしたが帰ってくる答えはいつも決まっていた。


「ごめんね骨川くん、今日は白と……」

そう常に俺の目の前に黒戸くろと しろと言う冴えない根暗な男が俺の美希との恋の邪魔をしていた。


そんな日々が何日も続いたある日、俺は小学二年生に上がる時に下駄箱で一人の女を見かけた、その女は下駄箱に何か手紙のような物を入れようとしていたので。


「おい! 何してんだ見せろよ」

この女は緑山みどりやま しずく、三つ編みエメラルド色の髪に少し垂れた目、黒縁眼鏡くろぶちめがねが特徴的な冴えない女だ。


俺は手紙を奪い取ると、中身を見るため封を破き中身を読む。


『黒戸 白君へ 放課後時間あったら校舎裏でお話ししたい事があるので来てもらっても良いですか? 午後4時まで待っているので、都合悪かったらそのまま無視してもらっても構わいのでお願いします。 緑山 雫』


「おいなんだこりゃ、お前あの黒戸が好きなのか? クッハッハッハッ、お似合いだぜお前ら冴えない同士よ……ん!?  待てよ、これは使える」

俺は緑山をコケにして笑っていると、良い事を思いつき。


「おい緑山、お前ちょっと俺に協力しろや」


「えっ何? や、やだよ変な事に巻き込まれるのは」

俺は反抗してくる緑山にムカつき、足を踏みつけ言ってやった。


「なぁ緑山、俺はお前にお願いを頼んでんじゃねーんだよ、やれと命令してんだ分かるよな?」

俺はどんどん緑山の足に体重をかけ話した。


「い、痛い、痛いよ、離して!」

緑山は涙目になり、足を退けてもらうよう頼む。


その瞬間、バチン! と凄い音と共に黒縁眼鏡が宙を舞い、地面に落ちると眼鏡のレンズが割れた、俺は緑山を平手で思いっきりひっぱたたき喉を鷲掴みにして下駄箱に緑山を叩きつけた。


「おい! やれよ」


「あぁぁぁぁぁ……」

緑山は震えながら涙を流し頷く。


「ケッケッケ黒戸、お前に地獄を見せてやるよ」

俺はこれから起こる事を考えると笑わずにはいられなかった。

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